ほっと一息
2024.08.14
私の食育日記 タマネギは子どもの味方
JA広報通信2024年6月号
食育インストラクター●岡村麻純
どんな料理にも活躍してくれる万能なタマネギですが、意外とタマネギが苦手な子は多いように思います。その多くの理由が辛いからですよね。確かに生のタマネギは食べたら辛いし、切れば涙も出て、苦手意識を持ってしまうのは分かります。しかしながら、実はタマネギはとっても甘い野菜なのです。
タマネギの糖度はイチゴと同じくらいあります。にもかかわらず食べると辛く感じるのは含硫アミノ酸である辛味成分が含まれているからです。その辛味成分は、水や熱に弱いため、水にさらす、または加熱することで辛味成分が抜けて、本来のタマネギの甘さを感じることができるようになります。タマネギを炒めると加熱によって辛みが抜け、さらに水分が蒸発して甘みが凝縮してタマネギが本来持っている甘みを感じることができます。そこで、わが家では炒め物や豚の角煮などでも炒めたタマネギをたっぷり使い、絡めて食べることで自然な甘み付けとし、その分だけ砂糖を控えめにして調理しています。子どもたちも甘くなったとろとろタマネギが大好きです。
もう一つ、タマネギが子どもたちの味方になってくれるのが、肉を軟らかくしてくれる、プロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素が含まれている点です。このタンパク質分解酵素は、パイナップルやキウイフルーツなどにも含まれますが、タマネギはフルーツに比べて味に癖がないため、どんな味付けにも使いやすいのです。わが家では、唐揚げを作るときもすりおろしたタマネギに漬け込みますし、刻んだタマネギのマリネ液に肉を漬けてから調理するなど、子どもが食べやすい軟らかい肉料理を目指して、タマネギを多用しています。
そんな、実は甘いタマネギですが、もちろん辛味成分にも体に良い栄養が含まれますし、辛みが生きるタマネギ料理もあります。食べる人や年齢に合わせて、その魅力を最大限に引き出した調理法で、タマネギにはこれからも活躍してもらいたいと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ) 食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母