ほっと一息

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2024.06.05

夏休み! 田んぼの生きものを探してみよう

JA広報通信2009年6月号

取材協力・JA全農広報部広報SR課SR推進事務局 大村茂氏

 

 

 全国どこでも見ることができる水田。私たちにとって身近な存在です。水田の中をじっくり見ると、思わぬ生きものに出合えます。水田はお米を育てるだけではなく、たくさんの生きものをはぐくむ「オアシス」なのです。さぁ、これから一緒に田んぼの生きものを探しに行きましょう! 

 

田んぼには生きものが たくさんいるよ!

 ここでいきなりクイズです。水田には、いったい何種類の生きものがすんでいるのでしょうか。100種類? 500種類? いやいや、もっといますよ。答えは動物だけで2500種類ぐらい。たくさんの生きものにとって、水田が大切なことがわかりますね。

 最近生きものをはぐくむ水田の役割が評価され、JA全農などが中心になって、全国の水田にどんな生きものがいるのかを調べています。それが「田んぼの生きもの調査」です。さっきのクイズの答えもこの調査から判明したものです。

 水田が生きものをはぐくむ力は絶大。例えばご飯一膳(いちぜん)分の水田で、オタマジャクシが35匹もすめるという調査結果もあります。水田のふところの深さには驚かされますね。

 

 

自分で作ろう 田んぼの生きもの図鑑

 いよいよ、お待ちかね! どんな生きものがいるのか水田で調べてみましょう。代表的な生きものだけでも約150種類いますよ。

 夏の水田なら、コオイムシ、タイコウチ、ミズカマキリ、ホウネンエビ、カブトエビ、チビゲンゴロウなどが、あぜにはカエル、バッタ、クモのほか、ヘビもいるかもしれません。水路にはメダカ、フナ、ナマズなども泳いでいます。

「生きもの調査」でクローズアップ。 田んぼの新たな価値

 「田んぼの生きもの調査」は、JA全農がNPO法人生物多様性農業支援センターや、農と自然の研究所などと連携して全国各地で実施しています。  調査によって、田んぼの価値があらためて見直されています。田んぼを守ることは、現在大きな問題となっている自然や環境を守ることにつながるのです。

 そのほかにも、

(1)田んぼの生態系が地域や自然にどのような影響を与えているのか、

(2)肥料や農薬への過度な依存を見直し、生きものと自然が共存する環境に優しい農業の推進、

(3)食農教育──など、食料を作る場所だけではない、多種多様な役割が次第に明らかになり、その重要性はますます高まっています。

 

調査のお供に!

『ポケット版 田んぼの生きもの図鑑 動物編』 岩渕成紀・著 NPO生物多様性農業支援センター

 

『ポケット版 田んぼの生きもの図鑑 植物編』 嶺田拓也・著 NPO生物多様性農業支援センター

 

 

 

 

調べ方

 網や小さな水槽を持って、稲や水中、泥の中などを探してみます。

 もし、記録をつけたり、自由研究のテーマにしているのなら、1枚の田んぼのうち、1m2と範囲を決めて調べるとまとめやすいですよ。

 生きものを見つけたら網などで捕まえて、図鑑などで確認して記録しましょう。別の田んぼを調べたり、数回に分けて観察し、日付ごとにまとめれば、自分だけの「田んぼの生きもの図鑑」の完成です。

アマガエル

雨の日前になると、クワッ、クワッと鳴きます。体の色が周囲に合わせて緑色から灰褐色へと変化します

ヒシバッタ

土色の複雑な模様が特徴です。上から見るとひし形をしています。水辺が好きなバッタです

クモ

イトミミズ

土の中の穴に赤い糸状のものがゆらゆら揺れていたら、イトミミズの巣です。有機物を食べて、稲などが吸収しやすい養分に変えてくれます

タイコウチ

タガメと間違えやすいですが、細く、しっぽが長いのが特徴です。成虫はオタマジャクシやメダカに口針を刺して食べます

カブトエビ

「生きた化石」ともいわれています。脚で土をかき混ぜ水を濁らせるため、雑草が生えにくくなる効果があります

チビゲンゴロウ

体長2mmほどの小さなゲンゴロウ。株元の水の中をじっとのぞき込んでみてください。小さな黒いものが泳ぎ回っています

ホウネンエビ

カブトエビがいる田んぼでは、よく見かけます。体は半透明で背泳ぎをしながら優雅に泳ぎます

ミズカマキリ

名前の通り、カマキリに似ています。しっぽが胴体とほぼ同じ長さです。しっぽの先を水面に出し、そこから呼吸します

コオイムシ

卵を背負っている姿を見るかもしれません。卵を背負うのは雄で、水面近くの水草につかまり、2~3週間にわたって世話をします

ヘビ

メダカ

圃場(ほじょう)整備や農薬の使用などでずいぶん数が少なくなっています。群れで行動し、ミジンコやボウフラなどを食べています

フナ

ナマズ

成魚は体長50cmにもなります。うろこがなく、上下のあごに一対ずつひげがあります。昼間はじっとし、夜になると、小魚やドジョウ、オタマジャクシなどを食べます

 

 

参考文献:『田んぼのめぐみ150』 NPO生物多様性農業支援センター

・NPO農と自然の研究所・NPOたんぼ

/『ポケット版 田んぼの生きもの図鑑 動物編』NPO生物多様性農業支援センター

イラスト:小林裕美子