ほっと一息
2024.05.31
親族法について その8
JA広報通信2024年4月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
離婚に関して、当事者双方で離婚の合意が成立したとしても、決めなければならないことがあります。それは、子どもの親権についてです。民法が改正され18歳に達すると成人となりますが、18歳に満たない子どもがいる場合、父母はその一方を親権者と定めなければいけないと規定されています。つまり、離婚するには子の親権者を決めないと離婚届が受理されないということです。
親権の内容は身上監護権、財産管理代理権、法定代理同意権ですが、親権者は父母のどちらか一方になります。親権者を父母のどちらか一方にすることについては、最近、離婚しても従前と同様に父母の共同親権の行使を認めるべきではないかなどの意見がありますが、民法の改正はされていませんので、将来どうなるかの議論ということになります。
この親権者をどちらかにするかで、父母の意見が合わないときは、協議離婚ができないこととなり、裁判での離婚のときに、裁判所が父母の一方を親権者として決めるということになります。
今日の離婚裁判の紛争の原因として、この親権を巡る争いが多い状況となっています。
なお、父母の協議や裁判で父母の一方を親権者と決めても、その後の状況から子の利益のため必要があるときは、子の親族(多くは親権者とならなかった父母)から親権者変更調停の申し立てを裁判所にすることができます。子の出生前に父母が離婚したときは、子の出生時の親権者は母とされていますが、協議で父を親権者とすることも可能です。
次回も離婚について説明します。