ほっと一息

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2024.05.12

私の食育日記 いろいろなものを食べる大切さ

JA広報通信2024年4月号

食育インストラクター●岡村麻純

 

 私ごとですが、ただ今第3子妊娠中。妊娠中は自分の食生活を見直すきっかけになります。

 まず、食事で意識しているのは体をつくる基礎となるタンパク質です。炭水化物に頼りがちな食事を、魚や肉、卵などタンパク質を中心にした食事にするよう心がけています。妊娠中は血液の作られる量が多くなるため、鉄分不足になりがちです。鉄分が多く含まれる食材にはアサリやレバー、マグロ、小松菜やヒジキが挙げられます。ブロッコリーやホウレンソウ、焼きのりに多く含まれる葉酸をしっかり取ることで、赤ちゃんの異常発生リスクを抑えられることが分かっています。他にも、サケやキノコ類に多く含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を助けてくれます。妊娠中は便秘になりやすいため、海藻類や根菜などで食物繊維を多く取り、ヨーグルトなどの乳酸菌で腸内環境を整えることも大切です。

 このように必要な食材を挙げていくと、ついそればかりを食べようとしてしまいます。しかし、この中には取り過ぎると良くないものもあります。例えば、貧血予防には欠かせないレバーに多く含まれるビタミンAは、過剰摂取すると赤ちゃんの形態異常を引き起こすリスクが高まることが分かっています。他にも、マグロは鉄分たっぷりですが、赤ちゃんの成長を妨げる水銀が含まれますし、食物繊維が豊富なワカメやのりは、過剰摂取を控えた方が良いヨウ素が含まれます。ヒジキは鉄分や食物繊維が豊富で妊婦さんには良い栄養がたくさんですが、過剰摂取すると良くないヒ素も含まれます。

 このように多くの食材がたくさんの栄養素を持ち、いい面、悪い面と隣り合わせになっています。一つの側面だけを見て、そればかりを食べているとかえって体に良くないということも起きてしまうのです。これは妊娠中に限ったことではありません。健康的な食事とは、いろいろな種類のものをバランス良く食べることであると改めて感じました。

 

 

岡村 麻純(おかむら ますみ)

食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母