ほっと一息
2024.02.28
私の食育日記 ゼリー作りの寒天とゼラチン
JA広報通信2024年2月号
食育インストラクター●岡村麻純
お菓子作りが大好きな娘。特にゼリー類はおやつの時間に小まめに作ってくれます。果物たっぷりのゼリーや、ジュースや牛乳で作ったゼリーなどさまざま。最近は見た目にもこだわっていて、星形ゼリーや宝石ゼリーなど華やかです。
そんなゼリー作りに使われているのが、ゼラチンや寒天です。この二つは、どちらも液体をゲル化して固める性質を持っています。ゼラチンの原料は、人間の体内にも含まれるコラーゲンです。よく煮魚の煮汁や鶏肉の煮物が冷めるとゼリー状に固まっていることがありますが、これがゼラチンと同じ、コラーゲンによるゲル化です。この性質を利用して作られるのが、煮こごりという料理です。私たちがお菓子作りに使うゼラチンはこのコラーゲンを水に溶けやすく処理したものです。ゼラチンの特徴は、溶ける融解温度が20度から30度と低めで、固まる温度も13度ほどです。ですので、冷たく食べるとおいしいものに適しているといえます。融解温度が低めな分、口の中で溶けるような舌触りになるため、滑らかなデザートにしたいときはゼラチンがお薦めです。
一方、寒天は、海藻の紅藻類から作られ食物繊維も豊富で便秘やおなかの調子を整える効果もあるといわれています。寒天は溶ける温度が68度から84度、固まる温度も25度から35度と高めなので、ゼラチンに比べて室温でもしっかりと固まってくれるのが特徴です。そのため娘にも、型抜きゼリーや形作ったゼリーにしたいとき、しっかり固めたいときは寒天を使うように勧めています。パイナップルやキウイなどは、タンパク質分解酵素が含まれているためゼラチンでは固まりませんが、寒天ならば、これらのゼリーも作ることができます。
娘には、両方の性質をよく理解して、作りたいイメージに合わせて使い分けてほしいと思っています。
岡村 麻純(おかむら ますみ)食育インストラクター
お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母