ほっと一息

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2024.01.23

介護ハンドブック 介護の苦労を打ち明けてくれなかった友人

JA広報通信2024年1月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 介護の悩みは、家族関係や経済的な問題など、話しづらい内容もあるものです。介護者は、親しい人だからこそ、あえて介護の話題を出さないことがあります。

 友人が介護していることを10年間知らなかった

 関西在住のFさん(女性・50代・会社員)とAさんは、30年来の大親友です。頻繁にカフェ巡りを楽しみ、時には旅行をするほどの仲です。先月、Aさんの母親が亡くなりました。葬儀に参列したFさんは、他の参列者から、Aさんが母親を10年以上介護し、苦労も多かったらしいことを初めて聞きました。Fさんは「介護していることを話してくれなかったのは、私が信用されていなかったからなのかな……」とショックを受けてしまいました。
 私の推測ですが、AさんはFさんと過ごす時間を大切にしていたからこそ、介護の話題をあえて出さなかったのではないでしょうか。親友のFさんとなら、介護者という立場ではない素の自分でいられる。Fさんは、そういう大切な存在だったのでは、と思います。
 私自身、仕事をしながら家族3人の介護をすることができたのは、さまざまなサービスを利用しながら、友人と食事に行ったり、映画に行ったりと、自分自身が楽しめる時間を意識して取っていたからです。

 

 

 「悩みを打ち明ける=友人の証し」ではない

 プライベートを誰にどこまで話すかは人それぞれです。親しい人だからこそ、具体的な状況を話したくない人もいれば、聞いてもいないのに自分からあれこれ話す人もいます。友人だからといって、何でも打ち明けるわけではないのです。
 「身近な人や友人が介護で悩んでいそうだけれど、詮索するのは良くないかな?」と感じる場面もあるかもしれません。相談に乗りたい、でもどうしたらいいか分からないときは、状況や悩みを具体的に聞き出すよりも「最近どう?」「眠れている?」など、その人自身の状態や体調を気遣う質問から始めてみましょう。