ほっと一息

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2023.11.15

私の食育日記 子どもの料理のお手伝い

JA広報通信2023年11月号

食育インストラクター●岡村麻純

 

 親子で料理をする――。食育という観点で見ても、とてもすてきなことです。しかし、実際子どもに手伝ってもらうと、大量にこぼしたり、「これやりたい」とごねられたり、1人で料理をするより何倍も手間や時間がかかってしまいます。

 「手伝おうか?」というわが子の優しい言葉も、余裕のある昼下がりにはうれしさいっぱいですが、夕方など時間に追われているときは「うっ、今来たか」と、身構えてしまう私がいます。そこで、「お箸並べてくれる?」なんて無難なお手伝いを頼むと、「えー、もっとお料理っぽいことしたい」とこちらの意図を読まれてしまいます。そんなわけで、子どものお手伝いは必ずしも助っ人になるとは限らないもので、「よくお料理のお手伝いをします」と聞くと、お子さまだけでなく、親御さまも素晴らしいと心の中で思っています。

 私の娘も料理に興味があるようで、時間やこちらの焦りには構わず「手伝うよ」と声をかけてくれます。そこで最近は、1品丸々子どもに任せるという作戦を取っています。親が作りたい物の途中の手伝いだと、こぼす、違うことをされる――と、つい気になってしまうもの。でも、1品お任せしてしまえば、こちらは自分のペースで進めつつ、子どもも自由に料理ができます。

 「サラダをお願いしようかな」と言うと、大喜びで野菜を選び、ドレッシングまで自己流で作っています。スープをお願いした日には、ウインナーに卵など自分の好きな物だけで作って満足していました。もちろんドレッシングが辛くて食べられなかった、なんてこともありますが、1品お任せスタイルにしておけば、失敗で食べる物がなくなることもなく、こちらも穏やかにいられます。子どもとしても、材料決めから下ごしらえ、調理まで体験できるので、切る担当などと割り振られる手伝いよりも楽しいそうです。

 親も子も、楽しく一緒に台所に立つ時間を増やせるよう工夫していきたいと思います。

岡村 麻純(おかむら ますみ) 食育インストラクター

お茶の水女子大学食物科学講座卒業
大学では食育をテーマに研究
男女2児の母