みんなのSDGs 田んぼソムリエになろう 生きもの目線で描く未来 田んぼソムリエ●林 鷹央  突然ですが、皆さんの住んでいる地域の2050年の未来を想像して、絵を描いてみてください。どんなものが描けましたか?  人間は「こんなことがあったらいいな、できたらいいな」と想像したことを実現してしまうというすごい力を持っています。山に穴を開けてトンネルを造ったり、大地をアスファルトで敷き詰めた道路に車を走らせたり、大きなビルを建てたり。他の生きものからしたら恐ろしい力を持っているともいえますね。  では次に、人間以外の生きものになった気持ちでも想像して描いてみてください。例えば海と川を行き来するウナギだったら、汚染されていない海や、堰(せき・大きな段差)がなく上っていきやすい川、泳いでいる途中で休憩できる場所もあるといいかもしれませんね。  森のリスたちだったらどうでしょう? リスが生きていくためには、ソーラーパネルや食べる実が付かない人工林よりも、ドングリがなる木が多い森がうれしいのかな?  メダカだったら、もっと緩やかな流れの水路で田んぼとつながってほしいと思うかも……など、いろいろと思い付きますね。  私は身近だったメダカが絶滅危惧種になったというニュースを見て、環境問題に取り組み始めました。その後、何度か未来図を描いてみましたが、今見返すとさまざまな生きものたちも一緒に未来へ行きたいのだと感じました。  落書きでも良いので、大人も子どもも「生きもの目線」が入った楽しい未来の姿を思い描いてみて、ぜひ生きものたちのことを考えるきっかけにしてみてくださいね。 2050年の田んぼ未来図 絶滅危惧種のニホンリス 田んぼソムリエ 林 鷹央(はやし たかお) 三重県生まれ、東京育ち。「田んぼの生きもの調査」を通して全国の農村・学校で生物多様性や農・里山文化の意義を伝える。著書に『田んぼソムリエになる!』(安心農業株式会社刊)がある。