ほっと一息

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2020.11.23

里山を歩けば  落葉

●日本生態系協会

 

 落葉の季節になりました。山や公園、寺社の森を見渡すと緑色の葉を残す樹木も見られます。常緑樹と呼ばれる木々です。長期間にわたって少しずつ落葉しています。秋に紅葉して気温が下がる冬に葉を落とすのは落葉樹です。

 

 森を歩くと、落葉や枯れ枝が積み重なって柔らかく、その下にはそれらが分解され土と混じり合った腐葉土があるのが分かります。落葉は雨が直接当たって土が流れ出すのを防ぐ、カバーの役割をしています。またジネズミなど小型の哺乳動物が暮らしていくための隠れ場所にもなっています。

 

 地面に落ちた葉は、ダンゴムシやワラジムシ、ヤスデといった土壌生物が食べ、消化器官を通して細かく砕き排出します。そのふんや食べ残しをもっと小さなダニなどが食べ、さらに菌類や微生物が分解して無機物に変化し、それを吸収して植物が成長します。樹木から落ちた葉は、このように物資として循環しているのです。また、ミミズは腐葉土を食べてボール状のふんを出すのですが、その隙間に空気が入るので植物の根は呼吸しやすくなります。里山では、落葉かきをして人工的に露天に堆積、腐熟させ、畑の堆肥として利用してきました。

 

 さらに落葉は、皆さんが食べる海の魚にも関係しています。落葉が微生物によって分解されるとフルボ酸ができますが、これが腐植土の中の鉄と結合してフルボ酸鉄になります。そして川を通して海に流れ出て、植物プランクトンや海藻が窒素やリンを吸収するために必要な鉄分を供給し、海を豊かにします。漁業者が山の落葉広葉樹の植樹に取り組んでいるのもそのためです。私たちがおいしく食べている海の幸にも大きく関係しています。樹木から落ちた葉はそこで役目を終えたわけではなく、形を変えながら、他の生き物や私たち人間の体までたどり着くことさえあるのです。