ほっと一息

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2023.06.23

永山久夫の健康万歳! 焼きみそパワーで天下取り

JA広報通信2023年6月号

食文化史研究家・日本の長寿食研究家●永山久夫

 

 

 家康の好物だった焼きみそ

 NHKの大河ドラマで人気の徳川家康は、平均寿命が40歳前後の戦国時代を生き抜き75歳まで長生きしていました。寝たきりにもならず、見事な生涯現役。
 戦乱の世を終息させ、平和な時代を実現させています。
 その偉大な行動を支えたエネルギー源の一つに焼きみそがありました。家康は香ばしく焼いたみそが大好物で、食事ごとに取っていたと伝えられています。ご飯の味によく合い、食が進んで意欲もどんどん湧いてくるからです。
 みそを焼いただけのものもありますが、ショウガを混ぜたり、すりゴマやニンニク、それに甘味のみりん酒を加えて焼きみそにしていたようです。
 これをご飯の上にのっけて食べたり、湯漬けといって、現在のお茶漬けのように湯をかけてサラサラと食べるのです。
 織田信長も湯漬けが大好物で、今川義元を討つため清洲城を出て桶狭間に向かう直前に、焼きみそと湯漬けをかっ込み食いして、突撃しています。
 焼きみそには、アルギニンなどのアミノ酸が多く、男性ホルモンが元気になって、戦うパワーが強くなるのです。

 

 ご飯にとっても合うんです

 武将ばかりではなく、一般の武士や足軽たちも焼きみそ好きが多く、いざ出陣となると、自家製の焼きみそを作り腰弁当と一緒に容器に入れて携行しました。
 にぎり飯と一緒に食べるのが習慣ですが、焼きみそを器に入れ、そこへ熱湯を注ぎよく溶かして飲用するのです。
 アミノ酸の多いタンパク質やビタミン、ミネラルなどが豊富ですから疲労回復や免疫力の強化に役に立ったのではないでしょうか。現代でしたら砂糖を少々加えた方が良いかもしれません。

 

 

食文化史研究家・日本の長寿食研究家 永山 久夫(ながやま ひさお)

1934年福島県生まれ。食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。