ほっと一息

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2023.06.02

介護ハンドブック 「外野」の反対意見、どうすればいい?

JA広報通信2023年5月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 介護は長期戦です。要介護者の状況は変化するものですし、介護者自身の状況も変わります。在宅介護に限界を感じて施設入居への手続きを進めようとした際、これまで介護に関わってこなかった「外野」である家族や親族から反対されているという相談は、私の元にも多く届いています。

 義母の施設入居に義兄が反対

 関東在住のCさん(女性・70代)は、脳血管性認知症の義母(98歳)を20年近く在宅介護してきました。Cさん自身が脊柱圧迫骨折をしたこと、膝の手術を受けたことをきっかけに、夫と相談して義母の施設入居の申請を行いました。Cさんも夫も後期高齢者で、自分たちのどちらかが突然の病に倒れた場合、義母を安全にケアできる保証がないと感じたからです。施設の申し込み手続きはスムーズに進められたのですが、他県に住む義兄から「施設なんてまだ早いだろう!」と反対されました。義兄はこれまで、義母の介護にほとんど関わっていません。実質的に介護のほぼ全てを担ってきたCさんは、施設入居に意見されるのは納得いきません。しかし、実の娘ではないと遠慮する気持ちもあり、どう対応しようか悩んでしまいました。

 

 介護者の健康と負担軽減を優先しましょう

 介護方針に反対する家族・親族の中には「自分が何もしてこなかった」という罪悪感を、意見することで解消しようとしているケースがあります。介護に関わってこなかった家族・親族から意見された場合には、「なるほど」と理解の姿勢を示すだけでよいです。気持ちに余裕があれば「悩んだ上での決断です」と返しましょう。相手の立場に立って冷静に話し合ったり、自分の考えを伝えたりする必要はありません。介護が楽になることにつながる意見であれば取り入れれば良いですし、負担が増えそうであれば、取り入れる必要はありません。これまで介護を頑張ってきたご自身の決断と、心身の健康を優先してください。