ほっと一息
2023.04.25
お米をおいしく楽しもう 米粉の魅力
JA広報通信2023年4月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
最近は米粉を使ったパンやスイーツがはやっているようです。以前はどちらかというと変わり種のような位置付けでしたが、最近はグルテンフリーという観点と、価格が高騰している小麦粉の代替品という視点で、興味・関心を持たれているようです。
以前から、お米を粉状にしたものには上新粉や白玉粉などがありました。最近、あらためて米粉と呼ばれる食材は、それらに比べてより細かく粉砕されているため加工がしやすく、それまでとは違った形での使用ができるのです。
ところが、弊社では米粉は取り扱っておりません。それは「粒」を「粉」にしてしまうと、精米店として今まで主張してきた「お米の正しい食べ方」と相反してしまうからです。
実はお米は粒で摂取した方が太りにくいのです。粉で摂取すると炭水化物の体への吸収スピードが速くなり、血糖値が急激に上がってインスリンが過剰分泌されます。このインスリンは脂肪を蓄える性質があるのです。
ところが、最近生米から作られたパンを食べる機会があり、それをきっかけに少し考えを変えました。生米パンは形こそパンなのですが、食べてみるとまさにお米を感じることができる不思議な味でした。精米店を継いで13年ほどたちますが、お米を使った料理でまだまだ自分の知らない味が実現できるのだと、衝撃を受けたのです。
そう、粒の形はしていなくとも、米粉スイーツも生米パンも、お米の新しい楽しみ方なのです。今まで慣れ親しんだ料理をお米由来の原材料で作り直すと、見た目は同じでもまた違った味の世界が広がります。
「米粉は太るから駄目」ではなく「米粉を通じて新しいお米の世界に触れる」ことができるのであれば、米粉パンやスイーツの流行は、お米の消費拡大にとって大変意味のあることですね。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。