ほっと一息
2023.04.23
私の食育日記 毎日の食事で鉄分不足を防ごう
JA広報通信2023年4月号
食育インストラクター●岡村麻純
私が健康診断で注意を受けてしまいがちなのが、貧血です。鉄欠乏性貧血は鉄を摂取することで予防できますが、鉄分の吸収率は加齢とともに減少してしまうため、年を重ねるたびに、より意識を高めていかなければいけません。サプリメントなどを頼る方法もありますが、食物を専攻した私としては、可能な限り食物から必要な栄養は摂取したいと考えています。
この鉄分不足は女性に多い印象ですが、実は子どもにとっても不足しがちな成分です。鉄は酸素を体全体へ送るという重要な役割をしています。また脳の神経伝達物質の合成にも関わっているため、脳の発達の著しい子どもには大切な栄養成分です。子どもでも、鉄分不足が起きると、顔色が青白くなり、集中力の低下や疲れやすくなるなどの体調不良が起きてしまいます。
鉄分は離乳食の始まる6カ月ごろから、食事からの摂取が必要になります。鉄の吸収率は個人差が大きいですが、5歳の子どもで推奨量は5・5mg。10歳にもなると1日に約10mgの摂取が望ましいとされ、成人男性の推奨量よりも多いです。だからといって、脳の発達のために子どもに毎日レバーばかりを食べさせるのは難しいと思います。
でも、実は鉄分は、身近な食品にもたくさん含まれています。例えば、卵1個には鉄分1・1mg、赤身の牛肉には100gで2・5mgほどの鉄分が含まれます。他にもアサリなどの貝類、納豆、厚揚げ、豆乳などの大豆類にも多く含まれます。普段のパンを全粒粉のものにする、ご飯を白米から雑穀米にするだけでも鉄分の摂取量を増やすことができます。毎食一つ、これらの身近な食材で鉄分を多く含む物を加えるよう意識するだけで、1日の摂取量を増やすことができます。また、野菜などのビタミンCを一緒に摂取すると、鉄の吸収率を高めてくれます。
無理せず、おいしく、家族みんなの鉄分不足を防いでいきたいと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ)
タレント、食育インストラクター。お茶の水女子大学食物科学講座卒業。大学では食育をテーマに研究。現在は男女2児の母。