ほっと一息

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2023.04.09

介護ハンドブック 多種類の薬の服用による、思わぬ副作用

JA広報通信2023年3月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 ポリファーマシー(多剤服用)という言葉をご存じでしょうか。薬を複数服用することで思わぬ副作用が起き、生活や心身の機能面に影響が出ることです。特に高齢者は、6種類以上の服用で深刻な影響が起きやすいとの調査結果が出ています。

 認知症の症状に似た副作用が

 関西在住のBさん(医療職・女性・30代)は、近くに住む義母(70歳)の物忘れの症状に気付きました。義母はおしゃれで社交的でしたが、最近ではぼんやりして活気がなく、一日中パジャマで過ごすことが増えているようです。かかりつけ医に相談したところ、初期の認知症の疑いがあるとの診断で、薬が処方されました。その後、義母はふらつくことが増え、先月には転倒して足を骨折し、入院することになってしまいました。けれどもこの入院が不幸中の幸いでした。病院の薬剤師から、義母の症状は、ポリファーマシーの可能性があると指摘されたのです。
 義母は整形外科で痛み止め、心療内科で睡眠導入剤の処方を受けて長年服用し、最近では高血圧を指摘されて薬が増えていました。認知症と診断されてからは、計11種類を服用していたのです。入院をきっかけに、医師と薬剤師の指導の下で減薬を始めた義母は、2週間ほどで活気が戻り、笑顔を見せるようになり、3カ月後には、認知症を疑われた物忘れ症状もなくなったのです。

 自己判断せず、医師や薬剤師に相談を

 ポリファーマシーは、薬を飲み続けてしばらくたってから影響が出ることがあります。まずはお薬手帳を活用しましょう。最近ではスマートフォン用のアプリもあります。服用している薬が5種類以下でも、意欲の低下、ふらつきなどいつもと違う症状が出た場合は、主治医や薬剤師に相談しましょう。介護保険制度には、薬剤師が自宅を訪問し、飲み忘れや服薬方法などを指導してくれるサービスもあります。ケアマネジャーに相談してみましょう。自己判断での減薬は危険ですので、必ず専門家の指示を受けてください。