ほっと一息
2023.02.05
私の食育日記 心も温まるだし
JA広報通信1月号
食育インストラクター●岡村麻純
メニューを考えるとき、できるだけ「だし」を使ったメニューを多く取り入れるように心がけています。だしには心をほっとさせる力があるように思います。寒い冬、温かいみそ汁を飲むと、体だけでなく心まで温まった気がする、そんな経験があるかと思います。
このほっとする要因は、だしに含まれるうま味成分が関係しています。うま味は、甘味、塩味、苦味、酸味と並び、味の基本味の一つです。うま味成分には、かつお節に含まれるイノシン酸、昆布に含まれるグルタミン酸、シイタケのグアニル酸などが有名です。他にも、煮干しだしはイノシン酸、あご(トビウオ)だしにはイノシン酸とグルタミン酸の両方が含まれています。
実は私たちが生まれてすぐに飲む母乳にもこのうま味成分、グルタミン酸が多く含まれています。母親のおなかの中にいるときの羊水にもわずかながらグルタミン酸が含まれていることが分かっています。赤ちゃんがうま味成分を好むことも分かっており、離乳食初期に調味料の前に昆布だしを使うのもこのためです。
この母親のおなかにいる頃からグルタミン酸でうま味を知る私たち。母からの愛情が詰まったうま味を知っているからこそ、大人になってからも、うま味成分を味わうとなんだかほっとするようになっているのです。
そこでわが家では、基本は昆布とかつお節で作った合わせだしを多めに作り、可能な限り多くの料理で使うように心がけています。毎日のみそ汁はもちろんのこと、カボチャの煮物やホウレンソウのおひたしなど、野菜料理にも水ではなく、だしを使います。ちなみに、トマトにもグルタミン酸が含まれるため、カレーなどの洋食のときは水ではなくトマトで煮込むこともあります。
子どもたちが大きくなり、それぞれの世界で頑張って帰ってきたとき、心も体もほっと安心する食卓になるよう、だしを使った料理を増やしていきたいと思います。
岡村 麻純(おかむら ますみ)
タレント、食育インストラクター。
お茶の水女子大学食物科学講座卒業。
大学では食育をテーマに研究。
現在は男女2児の母。