ほっと一息
2023.01.27
知って納得! 税金講座 居住用財産の買換え特例
JA広報通信1月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問税理士●柴原 一
不動産の売却に関して黒字が生じた時は、原則としてその黒字について所得税・住民税(譲渡税)が課税されます。ただし、自宅を売却した場合は、一定の要件を満たすことを条件に「居住用財産の買換え」または「居住用財産の3000万円特別控除」のいずれかの特例を受けることができます。
このうち「居住用財産の買換え」特例とは、自宅を売却し、かつ新しい自宅を原則として旧自宅の売却日の翌年12月31日までに購入または新築し、なおかつ、購入などの年の翌年12月31日までに居住の用に供した場合に受けられる規定です。 具体的には、新自宅の購入代金が旧自宅の売却代金以上の時は、売却益の全額が将来に繰り延べられ、逆に新自宅の購入代金が旧自宅の売却代金に満たない時は、その満たない部分について課税され、残りの部分は将来に繰り延べられます。
この「居住用財産の買換え」特例を受けるには
(1)譲渡年の1月1日における所有期間が10年超であること
(2)居住期間が10年以上であること
(3)買換資産である家屋の床面積が50平方m以上かつ敷地面積が500平方m以下であること
(4)買換資産が中古住宅の場合、築年数が原則として25年以下(耐火建築物に限る)であることが必要です。
居住用財産に関する特例の適用を受けるためには、自宅建物の売却が基本です。つまり、建物のみ、または建物および土地を同時に売却する時に限り特例の適用が受けられます。例えば、自宅建物は妻、自宅土地は夫名義の場合、この建物および土地を売却したとすると、妻は特例を受けることができますが、夫は受けることができません。
なお、「相続等により取得した居住用財産の買換え」という特例がありましたが、この特例については2007(平成19)年3月31日で廃止されました。