ほっと一息
2023.01.25
お天気カレンダー 寒さの中心で春を叫ぶ
JA広報通信1月号
財団法人日本気象協会●檜山靖洋
冬も後半に入り、そろそろ春の気配が待ち遠しいころです。暦の上で春の始まりとされる「立春」は2月4日ですが、例年1月下旬から2月上旬は最も寒い時期に当たり、春というには程遠い気候です。
しかし最も寒いということは、そこから気温が少しずつ上昇していきます。そう考えると「立春」は、文字通り春が立つ日、まさに春のスタートといえそうです。 2月は寒暖を繰り返しながら進みます。「春一番」と呼ばれる暖かい南風が吹いたあと、必ずといっていいほど、冬の寒さがぶり返します。2月の別名は「如月(きさらぎ)」ですが、「衣更着」と書くこともあり、寒さがまだ厳しく、衣服を重ねて着るからというのが、この名前の由来といわれています。 植物や動物たちは、ほんの少しの季節変化にも敏感です。梅の花は気温が少し上がり始めるころ、百花に先駆けて咲き始めます。梅の開花前線は1月下旬に西日本・東日本の太平洋側をスタートし、5月上旬にかけて北海道まで北上します。「春告草」ともいわれ、冷たい北風の中で、紅やピンク、白の花を咲かせ、われわれの目に小さな春を届けてくれます。そんな梅の花言葉は「忍耐」です。 ちょうど同じころ、ウグイスが鳴き始めます。ウグイスの別名は「春告鳥」。初めは「チャッチャッ」という鳴き声ですが、だんだんうまく鳴けるようになり「ホーホケキョ」となります。これはウグイスの求愛行動で、恋のさえずりです。寒さの真ん中で、恋の春の到来を告げているのです。