ほっと一息
2022.12.20
人生100年時代 アクティブシニアになるための 花咲く長寿食
JA広報通信12月号
シニアが時代をリードする面白い世の中になってきました。政治、経済はもちろん、景気、ファッション、グルメ、テレビの人気をリードするのは、今や元気な老人パワー。「アクティブ(活動的)新老人」の時代が幕開けしたのです。花咲けるおじじさま、おばばさまの時代。中年の次が老年で、老年の次が大老人。大老人は90歳以上のアクティブシニアといってよいでしょう。
大老人たちの元気のもとが、食べ物であるのは言うまでもありません。アクティブシニアになるための「花咲く長寿食」をご紹介いたしましょう。
監修・イラスト 食文化史研究家 日本の長寿食研究家
イラストレーター 永山久夫
1932(昭和7)年生まれで現在90歳。NHK『チコちゃんに叱られる!』や『突撃!カネオくん』など多くのテレビ番組に出演。現在、徳川家康の長寿法についての本を執筆中。テレビでも講演でもよく笑う。
若さと美しさと大豆
花咲ける大老人となって100歳人生を「ワッハッハ」と楽しむためには、今日からその準備を開始すべきです。
長寿効果の高い食に気を配り、ストレスをためずによく笑い、とことこと歩くこと。中でも重要なのは、毎日口にする食事です。近年、日本人が直面している筋力不足を補うタンパク質としても大豆タンパクは理想的。国産大豆の場合、約35%がタンパク質なのです。
体の筋肉量が十分でないと、免疫力も下がり、高齢になったときの体力が低下して虚弱体質に陥りやすくなってしまいます。大豆に多いイソフラボンは女性ホルモンに似た働きで、女性の若さや美しさを保ってくれます。
ご飯こそ日本の長寿食
日本は「長寿のお国」として世界の憧れですが、米の力がなかったらこれほど長生きできたでしょうか。
米に組み合わせてきた大豆、魚、野菜、海藻、山菜、キノコ、お茶などがことごとく健康食なのです。
日本人は米を縄文時代から現在まで約3000年も食べ続け、ついには世界トップクラスの長寿民族になりました。
米は炭水化物の塊と思われがちですが、タンパク質やビタミンB類、ビタミンE、カリウム、マグネシウム、亜鉛、食物繊維などを含むマルチフードなのです。むしろ現代人の脂質の取り過ぎを抑える上で役に立っています。ご飯を食べると食物繊維に似た効果で整腸作用を高める点にもご注目。
ごまみそで超元気
ごまとみそをベースにした「なめみそ」は、古代から長寿食として公家や僧家、それに武士の間で珍重されてきました。
米飯によく合うため、特に武士にとっては戦闘力を高める兵糧としても貴重であり、携帯食としてよく用いられていました。
ごまにもみそにも必須アミノ酸のトリプトファンが多い点が注目されます。トリプトファンは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの原料で、ストレスに負けない力となります。暗い気持ちが去り、いつもニコニコ顔になりますから、異性にもよく好かれ、好感度も高くなって人気者に。ビタミンB1も多いですから、多少無理しても疲れません。ウイルス感染を防ぐミネラルの亜鉛も含まれています。
トマトは赤い長寿食
「トマトのある家に病人なし」。これは欧州に古くから伝わることわざ。確かにトマトにはビタミンや特殊成分など、健康強化に役立つ成分がたっぷり。
トマトに豊富なビタミンCは、体内でコラーゲンの生成に役立ち、血管をしなやかに保って、血栓の発生を防いでくれます。ウイルスなどに対する免疫力を高め、風邪を防ぐ働きもしています。
トマトの赤い色素のリコピンには強い抗酸化作用があり、体細胞の老化を防いで、長寿力を高めます。トマトにはペクチンやセルロースなどの食物繊維も多く、腸内環境を良くしてくれますから、お通じも良くなり、気分もルンルンと壮快になり、「ワッハッハ」と笑いも出ます。
サケを食べて免疫力強化
肉質の赤いサケは立派な不老長寿食で、もっともっと注目されても良いでしょう。肉質の赤さから他の魚とは違った神聖でおめでたい魚と考えられ、東日本を中心にお正月には欠かせません。
赤い色には、厄よけの効果があるとか、幸運を呼び込むパワーがあると信じられてきました。この赤い色素はアスタキサンチンという抗酸化成分で、老化防止や免疫力の強化、美肌効果、がんの予防などに期待されています。
サケの脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く、頭脳力を高めて記憶力の衰えを防ぐ働きがあり、同じくEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれていて、こちらは血液をサラサラにする効果で注目されています。