ほっと一息

ほっと一息

2023.01.22

なくそう食品ロス カレーライス

JA広報通信12月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

 1月22日は「カレーの日」です。1982年に学校給食創立35周年を記念し、全国の小中学校で約800万人にカレーライスの給食が出され、この日が「全国一斉献立カレーライスの日」になったとのこと。
 探検家で医師の関野吉晴さんは、名誉教授を務める武蔵野美術大学で「関野ゼミ」と称し、ユニークな取り組みを行ってきました。その一つが「カレーライスを一から自分たちで作ってみる」というものです。米、野菜、肉、スパイスなどを一から作るのです。種を植えてからカレーライスが出来上がるまでの9カ月の記録は『カレーライスを一から作る』と題し、映画や書籍になりました。
 参加した学生の中には、カレーライスの肉として使用するダチョウを育てるうちに「殺すのをやめよう」と考える人もいます。一方、「もともと食べるために飼ったダチョウなのだから絞めて食べよう」という意見も出ます。
 私たちが普段カレーライスを作るときには、すでに「鶏肉」になったものを精肉店やスーパーで買ってくるわけですから、こんなことは考えないでしょう。でも、見えないだけで本当は生きている生き物の命をいただいて食べているのです。
 私はJICA(国際協力機構)海外協力隊としてフィリピンに派遣される前、訓練所で生きている鶏を絞めてさばく訓練を受けました。首の部分を切って逆さにし、熱湯に漬けて、毛をむしり取り、さばくのです。そんな経験をするのは初めてという隊員も多くいました。生きていた命をいただくのだから無駄にはできないという気持ちが強く湧き起こりました。
 実際には、このような経験をすることはなかなか難しいです。そのような場合は『食べているのは生きものだ』(福音館書店、森枝卓士著)を読むのはいかがでしょう。食べることは「あなたの命をいただく」こと。それがよく分かります。


(参考:映画『カレーライスを一から作る』公式サイト)  

 

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著作多数。