ほっと一息

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2022.12.07

資産管理の法律ガイド 民法等改正(令和3年)について その6

JA広報通信11月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 今回は共有物の共有者の所在が不明な場合の改正について説明します。

 共有者の所在が不明ですと、共有物の処分や管理に著しい支障が生じます。そこで、今回の民法改正では共有者の所在不明の場合について、以下のような改正をしました。

・共有者が所在不明や知ることができないとき、他の共有者の請求で他の共有者全員の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判を裁判所ができることになりました。

・共有者が所在不明や知ることができなかったり、相当な期間を定めて催告しても管理すべき事項に賛否を明らかにしなかったりしたときは、当該共有者以外の共有者の持ち分の価格に従って、裁判所は共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判ができるようになりました。

 また、今回の改正では共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき、裁判所は他の共有者の請求で、当該共有者の持ち分を請求した共有者に取得させる旨の裁判をすることができるようになりました(ただし、当該共有者の異議があるときは、裁判はできません)。
 さらに、他の共有者全員で所在不明等の共有者の持ち分を含めて、第三者に共有持ち分全てを譲渡することも裁判所の裁判があれば可能となります(ただし、所在不明等の共有者の持ち分が相続財産に属するときは、相続開始時から10年を経過していることが必要です)。
 売却された共有持ち分の代金については、実際には供託されることになります。

 次回は共有物の分割の改正についての説明をします。