ほっと一息
2022.11.30
介護ハンドブック 不平不満を言い続ける要介護者への対応
JA広報通信11月号
介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子
介護者の悩みの一つが、介護サービスに対する要介護者の不平不満です。本人に気持ち良く、納得して利用してもらうために対応を重ねても文句や愚痴が止まらず、困ってしまう介護者は多いものです。
■ デイサービスの不満を言い続ける母親に疲れた!
Bさん(会社員・女性・40代)の母親(70代)は1年前に脳梗塞で車いす生活になり、デイサービスを利用しています。母親は、毎日のように「あのスタッフ、あいさつもちゃんとできないのよ」などと不平不満をこぼします。否定せずにウンウンと共感しても、解決のための対策を取っても、文句は止まることがありません。Bさんは次第に、自分が責められているような気持ちになってきました。
頑張り過ぎる介護者は、愚痴や不満ばかりの要介護者を笑顔にしようと努力してしまいがちです。また、文句を聞かされ続けていると、自分の関わり方が不合格だと言い渡されているような気持ちになり、落ち込んでしまいます。
■ 納得や解決は不要、過剰な責任感を解く
けれども、何でも文句を言うタイプの人からOKがもらえる可能性はほとんどありません。なぜなら相手は、解決してほしいわけでも、あなたを否定しているわけでもなくて「指摘するのがコミュニケーションの癖」であり、不平不満を言うことが生きがいの可能性があるからです。私の祖母も、他人の問題点を指摘し、愚痴を言うと生き生きと元気になることがありました。このようなタイプの人には無理して納得させよう、機嫌を直してもらおうとしなくても大丈夫です。「そっか、そう感じたんですね」と、カラオケのように合いの手を入れましょう。
要介護者が不機嫌だと落ち着かず、何とかしようと焦って苦しくなる人は「相手が不平不満を言う=自分が不十分、駄目だから」と無意識に感じている可能性があります。まずは「不平不満は相手の趣味」「機嫌を取らなくていい」と意識してみてください。