ほっと一息

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2022.11.18

お米をおいしく楽しもう 「冷めてもおいしいお米」とは

JA広報通信11月号

五ツ星お米マイスター●小池理雄

 

 「冷めてもおいしい」。消費者の関心が非常に高い、お米にまつわる「キラーワード」の一つです。ライフスタイルの変遷に伴い、炊きたてご飯を食べる機会が減ってきたことがその背景にあるようです。

 冷めてもおいしいご飯を実現する切り口の一つは「品種」です。「ゆめぴりか」や「ミルキークイーン」など、もっちり系の品種であれば冷めても比較的おいしく食べることができます。中には「金色の風」のように冷めてからの方がおいしい品種もあります。

 そしてもう一つの切り口は「生産者の顔が見えるお米」です。私の経験則ではそういったお米はたいてい冷めてもおいしくいただけます。

 生産者の顔が見えるとはどういうことでしょうか?

 例えば弊社は各地の生産者と密なやりとりをした上でお米を仕入れています。販売店との密なやりとりにより「品質の良いものを出す」使命を感じ取っているはずです。

 そういった生産者は真剣にお米に向き合っています。例えば暑い夏でも毎日田んぼを見回ります。そしてちょっとした変化があれば、田んぼに水を入れたり、肥料を散布したり、雑草を取り除いたりしているのです。

 お米は農産物です。手間をかければ良いものが仕上がります。天候不順であってもきちんと対応すれば影響を軽微にとどめることができます。彼らの細かい作業や卓越した技術に支えられ、高い確率で高品質のお米が出来上がるのです。

 そしてお米は炊きたてよりも、多少冷めてからの方が本来の味が分かります。冷めていればじっくりと味わうことができるからです。
 「冷めてもおいしいお米」とは、言い換えれば「高品質のお米」と同意といっても良いでしょう。

 

 

五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)

小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。