ほっと一息
2022.10.18
お米をおいしく楽しもう 電気炊飯器で簡単においしく炊飯できるこつ
JA広報通信10月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
今回は消費者が知りたいお米情報の中で圧倒的に関心が高い「簡単においしく炊飯できるこつ」についてです。
電気炊飯器はスイッチを押せば後は全自動ですので、炊飯のこつは人の手が加わる場面に限られます。①洗米②浸漬③ほぐし、の三つです。
①洗米……お米は優しく洗います。米粒の割れを防げますし、何よりもお米の味を損ないません。実は白米の部分とぬか層の間には「亜糊粉層(あこふんそう)」という層があり、うま味成分が多く含まれています。ここを残すのがポイントです。
②浸漬……電気炊飯器の取り扱い説明書に「浸漬は不要です」と書かれていますが、浸漬自体が不要なのではなく、電気炊飯器では浸漬時間も含めて「炊飯」となっているということです。浸漬の目的は二つです。一つは熱を十分に米粒に伝えるため。水を介して中までしっかり熱が伝わり、でんぷんがアルファ化(軟らかくなること)されるのです。もう一つはでんぷんを糖化させる酵素「アミラーゼ」を活性化させるためです。
そしてこれらの大前提となるのが冷たい水を使うことです。実は冷水に長時間漬けた方が、水がより深く米粒の中まで浸透します。温水の方が早く浸透しますが、より深くとなると冷水の方が勝るのです。
アミラーゼは水温が40~60度くらいで最も活性化されます。炊飯時にこの時間帯を長くするのがポイントです。そのため冷水から炊飯を始めた方が良いのです。
なお、浸漬した場合は炊飯モードが変わることがありますので、取り扱い説明書をご確認ください。
③ほぐし……冷気をご飯粒に当て表面をパリッとさせることが目的です。ほぐさないと食感が悪くなります。この工程ではご飯粒をつぶさないように注意が必要です。
いかがでしょうか? ほんのちょっとの手間でお米はさらにおいしくなります。ぜひ試してください。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。