ほっと一息
2022.10.06
トラブル回避の基礎知識 パーソナル筋力トレーニングによる危害にご注意!
JA広報通信9月号
国民生活センター相談情報部●岡島睦美
パーソナル筋力トレーニングによる危害の相談が増加しています。
【事例】以前から通っていたジムでパーソナル筋力トレーニングを受け始めた。下半身を鍛えるトレーニングの際、トレーナーに足首をつかまれ胸の辺りまで引き上げる動作を何度も繰り返していたら胸に強い痛みを感じた。数日しても治まらず整形外科を受診したところ、医師から「肋骨(ろっこつ)が折れている」と言われた。
【事例】インターネットで見つけた運動と食事制限を併用するパーソナルジムと契約した。トレーナーの指導により糖質を完全にカットする食事を続けたところ、全身に湿疹が出て、医療機関で「糖質制限による色素性痒疹(ようしん)」と診断された。
コロナ禍での生活が続く中、多人数との接触を避けながら運動不足を解消し体の状態を整える目的で、個別の指導を提供するパーソナル筋力トレーニングのサービスを受ける消費者が増えています。それに伴い、トレーニングによりけがをしたり体調不良を起こしたりしたという相談が増加しています。治療に1カ月以上要するものも多く、中には神経や脊髄を損傷するなど重篤な症状を起こしたケースもあります。
パーソナル筋力トレーニングの形態は、スポーツジムの特別メニューによるものや専用のジムによるものなどさまざまですが、基本的にトレーナーに法的な資格保有の義務はなく、トレーナーのスキルやジムの運営方法などはそれぞれの事業者に委ねられています。
事故を防ぐには、事業者が個々の消費者について体力テストなどを行った上で既往症や過去の運動経験などを踏まえたプラン作りをしているか、事故があった場合の補償体制を整備しているかなどについて事前によく確認し、場合によっては医師に相談した上で慎重に判断してください。違和感を覚えたら無理をせずすぐに中断して事業者に申し出るとともに、医療機関を受診することが大事です。