ほっと一息

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2020.10.15

資産管理の法律ガイド  売買について

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 

 今回は、売り主が真実の所有者かに関連して、私が関与した、いわゆる「地面師」の事件の説明をします。

 

 

 Aさんは80代の女性で、息子さんが1人います。Aさんは住居地に5筆の土地を造成した状態で所有しており、管理している息子さんが業者に売却の相談をしていました。

 

 夏のある日、業者が対象の土地の登記簿を調べると、直近でAさんがB社に売却していることが分かり、業者が息子さんに問い合わせると、売却のことは知らないとのこと。そこで業者が登記申請書類を調べてみると、Aさんと称する人が、いわゆる権利証を紛失したとして、司法書士による本人確認を経て、B社へ売却していることが判明。司法書士の本人確認書類を調べると、Aさん名義の印鑑証明、免許証、健康保険証がありました。生まれた年が20年ほど若いだけで、その他は本人のものと一致していました。これは明らかに不正な登記と判明。

 その後、筆者がAさんと面会したところ、当然、免許証の写真とは違うだけでなく、Aさんは老人施設にいることから、司法書士との面会日も外出していないし、健康保険証も提出された物はカード式でしたが、Aさんの物は高齢者のため紙形式であることも判明しました。

 

 これはどう考えても、いわゆるAさんになりすました不正な登記でしたので、B社名義になった土地が第三者に売却されないような対処をすることにしました。

 

 業者からは不正な登記なので法務局に言えば抹消してくれるのではないかとのことでしたが、今回のケースは法務局での職権抹消ができないケースです。

 

 そのため、B社に対しての裁判でAさんの権利確保を図ることとしました。このときはB社が不正登記の仲間ではないかと考えたからです。続きは次回に説明します。