ほっと一息

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2022.09.22

お米をおいしく楽しもう お米とおかずの相性

JA広報通信9月号

五ツ星お米マイスター●小池理雄

 「このお米はどのようなおかずに合いますか?」
最近、お客さまから聞かれるようになった質問です。
 「お米とおかずの相性」が論点になること自体、昔では考えられなかったことです。それくらいお米の品種が増えてきた証しです。消費者は少しでも品種の違いを理解するために、「おかずとの相性」という切り口を思い付くのです。
 私は普段、次のように説明しています。例えば「飯の供」では……。
 まず、「お米(ある品種)」と「飯の供」をいくつかの切り口で分解します。
 お米は「うま味・粒の張り具合・粘り」の三つ、飯の供は「材料・調理方法・食感・味・形状」といった切り口で分類します。「食感」であれば「ねっとり系かぱりぱり系か硬い系か」、「味」であれば「しょっぱい系か甘い系か辛い系か」、「形状」であれば「まぶし系か固形かドロリ系か」など。そしてこういった切り口同士を表でまとめると「この品種にはどのような飯の供が合うのか」が分かるのです。
 この切り口は私独自のものですが、その背景にあるのはいかに「口内調味」を実現できるかに尽きます。
 口内調味とは「ご飯とおかずを同時に口の中でそしゃくすることにより、単品では味わうことのできなかった味へ昇華させ、楽しむこと」を指します。これは私たち日本人が昔からの食習慣の中で会得した独自の技、といわれています。
 そう、実は表のように複雑に考えなくとも、「口内調味ができるか否か」で「お米とおかずの相性」は見ることができるのです。
 皆さんもぜひ、普段の食事からこの口内調味を意識してみてください。きっと違ったお米の楽しみ方が体験できると思います。

 

 

五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)


小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。