ほっと一息

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2022.09.12

資産管理の法律ガイド 民法等改正(令和3年)について その3

JA広報通信8月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 今回は竹木の枝の切除について説明します。

 現行民法では、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができるものの、竹木の枝が境界線を越えたときは、竹木の所有者にその枝の切除をさせることができると規定されています。

 この条文ですと、具体的にどうすれば切除させることができるのか、自分で切除することがまったくできないのかなどの問題がありました。

 そこで、令和3(2021)年の改正では以下のような内容となりました。

(1)境界を越えた竹木の根については、従前と同様に、越境されている土地所有者が自ら切除できます。

(2)境界を越えた竹木の枝については、原則として従前通り、竹木の所有者に切除を求めることになりますが、以下のときは越境されている土地所有者が自ら切除できるとしています。

(イ)竹木の所有者に枝の切除を求めて催告したのに、相当な期間内に枝を切除されないとき。

(ロ)竹木の所有者が分からなかったり、その所有者の所在を知ることができないとき。

(ハ)急迫の事情があるとき。

 なお、竹木が数人の共有に属しているときには、竹木の共有者は枝を切り取ることができるとされています。このように、隣地の竹木の枝の越境に当たっては、例外ですが、いわゆる自力救済(法律の強制執行手続きを取ることなく権利を実現できること)が認められることになりました。

 次回は共有物の利用促進や共有関係の解消促進に関する改正内容を説明します。