ほっと一息

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2022.08.27

なくそう食品ロス リンゴ

JA広報通信8月号

食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美

 

毎年、店頭に並ぶニュージーランド産のリンゴ。小ぶりでサクッとして甘酸っぱい。リンゴの表面は色むらがありますが気にはなりません。

図 購入したニュージーランド産のリンゴ  (著者撮影)

 

日本の場合、リンゴがむらなく真っ赤になるように「葉取り」します。青森県弘前市で1000年以上続くリンゴ園「もりやま園」の森山聡彦(としひこ)さんは、開発アプリで労働時間を計測しています。小規模農家の労働生産性を上げるためです。もりやま園は全労働時間の75%を主に三つの「捨てる作業」に使っていました。一つ目が摘果、二つ目が枝の剪定(せんてい)、三つ目が葉取りです。海外の農家では葉取りをしていません。葉取りをしないことで果実の糖度が上がることは複数の論文で発表されています。そこで、もりやま園では葉取りをやめました。摘果したリンゴは3年がかりで「テキカカシードル」という名前のお酒に商品化しました。ジャパン・シードル・アワード2019では大賞を獲得し、全国に出荷されて好評です。

長野県の「マツザワ」は、摘果リンゴを農家から買い取り、土産用の菓子「りんご乙女」に活用しています。以前は捨てていた摘果を売ることで、7、8月の収入がゼロだったリンゴ農家は、月20万~30万円の収入になりました。摘果リンゴは地元のJAが各農家から集めてくれます。

 「ふじ」だと10kg40玉(250g/個)が標準で、大きければ大玉、小さければ小玉です。日本の品種は大きなサイズが多いですが、消費者側を見ると、以前と比べて世帯人数が減り、1、2人で食べ切れる小さなサイズが好まれてきているようです。摘果は実を大きく実らせるためのものですが、ここに食品ロス削減のヒントがあるかもしれません。

 

食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)


株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著作多数。