ほっと一息
2022.08.25
お米をおいしく楽しもう お米の「ブレンド」で理想の味に
JA広報通信8月号
五ツ星お米マイスター●小池理雄
今回は新しい味を生み出す手法「ブレンド」について触れてみます。
「ブレンド米」はあまり良いイメージを持たれていません。それは約30年前の「平成の大冷害」のときに流通した「日本米とインディカ米のブレンド米」が消費者の舌に合わなかったためです。
しかし今、ブレンドは「新しい味を生み出す手法」として活用されています。例えばすし屋です。すし屋のシャリは店ごとに違います。それは各すしの「理想」が異なるからです。その理想を具現化するために、例えば弊社では大将が気に入るまで試作に試作を重ね、その店独自のシャリを作り上げるのです。
新品種を開発するには10年以上の月日を必要とします。ところがブレンド米であれば短時間でできます。そう、実は消費者の皆さんでも簡単にできるのです。
私は時々「ブレンド米ワークショップ」を開催します。参加されたお客さまは「まるでコーヒーみたい」「初めての体験で楽しい!」と非常に喜ばれます。
ここでブレンド米を作るためのヒントを挙げてみます。
ヒント(1)「ブレンド材料は2、3種類で」
あまりに多いとそれぞれのお米の特徴が見えなくなります。
ヒント(2)「割合は等分にはしない」
どちらかの割合が多くなっていないと、味を改良する場合にどちらに寄せれば良いか分からなくなります。
ヒント(3)「相反するお米をブレンドする」
違う性格のお米をブレンドすることにより、違う味へと昇華できます。
ぜひとも皆さんには違うお米をお買い求めいただき、ご自宅でブレンド米を楽しんでいただきたいです。
私の夢は各家庭に「お米セラー」を普及させることです。お米が品種ごとに瓶に入っている保冷庫です。食事のたびにそこから複数のお米を取り出し、気分やシーンに応じてブレンドするようになれば、お米の消費は盛り上がることでしょう。
五ツ星お米マイスター 小池 理雄(こいけ ただお)
小池精米店三代目店主。1971年東京・原宿生まれ。大学卒業後、出版社、人事制度コンサルティングファームなどを経て、2006年に小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。