ほっと一息

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2022.08.13

トラブル回避の基礎知識 高齢者の自宅売却トラブルにご注意!

JA広報通信7月号

国民生活センター相談情報部●大井菜子

 

 

 高齢者の自宅売却トラブルに関する相談が寄せられています。

【事例】「マンションを売らないか」と突然不動産業者が2人訪ねてきた。「マンションを売っても、格安な家賃を払って住み続けられる。管理費や修繕費、固定資産税がかからなくなるのでとても有利だ」と6時間ほど説得されて意識がもうろうとし、高齢で独り暮らしだしそれもいいかと思うようになった。もう少し高く売れないかと伝えたら、1500万円で家を売ることになり、その場で手付金150万円を渡された。業者に言われるまま書面に署名押印したが、何の書類か覚えていない。後から不安になり解約したいと伝えたら、300万円を払うよう言われた。どうしたらいいか。

 

 

 自宅を不動産業者に売却して代金を受け取り、同時に賃貸借契約を結んで家賃を払いながら同じ家に住み続けるという「リースバック契約」に関する相談が寄せられています。メリットを強調されますが、消費者が不動産業者に自宅を売却した場合には宅地建物取引業法のクーリング・オフの適用はなく、無条件で解除することはできません。また、同時に交わす賃貸借契約に関しては、契約期間を制限されたり、相場より高額な家賃を設定されたりするなど、不利な契約内容になっている場合があり、特に高齢者の場合には住む場所を失うなど、取り返しがつかないトラブルに発展する場合があります。

 一般に不動産の売買契約成立後に契約を解除する場合、手付け解除の期間内であれば、売り主は手付金の倍額を買い主に支払う方法で解除できますが、その期間を過ぎると高額な違約金を請求されるなど、簡単に解除できない場合がほとんどです。

 勧誘時にメリットを強調されても、契約内容が理解できなかったり、迷惑に感じたりした場合は、きっぱり明確に断りましょう。トラブルに遭ったらできるだけ早く消費生活センターに相談してください。