ほっと一息
2022.07.31
おいしい! ヘルシー! 米粉の出番です。
JA広報通信7月号
日本人におなじみの米粉が脚光を浴びています。
小麦の価格が高騰している昨今、日本において自給率100%で賄える、
おいしくてヘルシーな食材ですから、どんどん利用していきたいものですね。
1 米粉の魅力 もっと広めたいお米の粉食文化
米粉は古く奈良時代に生まれ、和菓子を作るための材料などとして広く使われてきました。米粉とは、文字通りお米を細かく粉砕したもので、お米の種類やばい煎状態、精米度合い、粒子の大きさや精製度合いによってさまざまな種類があります。
でも、戦後は小麦粉の普及によって、すっかりその存在感が薄くなってしまいました。しかし、製粉方法の発達によりパンや洋菓子にも使えるようになり、新たな食材として再び脚光を浴びるようになりました。小麦アレルギーの代替食材として、そして健康的な食材として、料理にも積極的に利用されるようになってきたのです。
米粉で作られたパンやケーキ、お菓子などの嗜好(しこう)品は、しっとりもちもちした食感でとってもおいしいですし、今まで小麦粉で作っていた料理にも簡単に代替して使えます。
さらに、米粉で作ったパンは小麦粉で作ったパンよりも和食に合います。米粉で作られた麺もありますから、さまざまなジャンルの食事に合わせて食べることができます。
お米は日本人の魂の糧です。食生活が豊かになった今、ご飯という形だけでなく、お米を粉食(米粉)にすることで、お米の新しい食文化として次世代につながっていきます。
2 米粉と栄養 お米(米粉)は良質なエネルギー源!
米粉の主成分はでんぷん(炭水化物)です。炭水化物はブドウ糖に分解されてエネルギー源として利用されます。
タンパク質や脂質もエネルギーとして利用できますが、それらに比べると炭水化物は分子構造が単純なので、消化吸収に負担がかからず、エネルギーとして速やかに利用できます。半面、このことが血糖値上昇につながるとして炭水化物を制限する方が増えていますが、本来血糖値のコントロールは自律神経によって行われるので、健康な方であれば極端に制限するよりも食べ過ぎに注意していれば十分でしょう。
さらに、日本の食文化から見てみると、米(米粉)に足りない栄養が、みそなどの大豆発酵製品を一緒に摂取することでパーフェクトに近い状態になることに、先人の知恵を感じます。
3 米粉のおいしさ 米粉は腸美人になれる健康的な食材
カリッとした揚げ物や滑らかなとろみ付けなど、日常のお料理も、ふわふわのケーキやパン! オーブンを使わないスイーツ! も簡単でおいしく、ヘルシーにできちゃいます。
特に日本人(お米を食べ慣れている方、米を主食にしている土地に暮らす方にも当てはまる)にとって、米粉で作ったパンやケーキなどのもっちり、しっとりした食感は、実際のうま味以上になんだか懐かしいような感じを与えてくれて、よりおいしく味わえる気がします。
小麦粉で作られた食べ物を米粉に一定期間置き換えて食べてみると実感しますが、腹持ちがよく! 便秘になりにくい! その上お肌もしっとり! 米粉は腸美人になれる健康的な食材ですね。
米粉はお米からできています
収穫した米のもみ殻を取って粉にすると玄米粉、種皮までを取った粉が一般的に売られている米粉です。一般的な米粉の栄養は白米と同じで、8割近くがでんぷん(炭水化物)です。
小麦粉を一切使わず、発酵食を使って作るビーガン食の献立例(監修者の陣田さんが経営しているカフェのビーガン&グルテンフリーのメニューの一つ)。
陣田靖子さんお勧め いつもの料理がおいしく変身!米粉の賢い使い方
yasming’s kitchen 主宰 米粉マイスター協会相談役 陣田靖子(じんだやすこ)
国内各所で米粉のパンやスイーツ、料理講座を開催するとともにお米の食文化を次世代につなげるための食育指導や講演を行っている。
https://yasming.net
ポイント1 カレーやシチューのとろみ付けに
カレーやシチューのとろみ付けに米粉を簡単に使えます。小麦粉と違ってダマになりませんので、お料理の初心者の方も滑らかに作れます。
片栗粉と同じように米粉を水溶きして流し入れ、満遍なくかき混ぜて、火が通るまでしっかりかき混ぜ続けていれば、滑らかなカレーやシチューの出来上がりです。もう市販のルーを買う必要がないほどです。
水分の多いさらさらカレーに、水溶きの米粉を加えてぐるぐるとかき混ぜながら火を通すと、とろっとしたカレーの出来上がり。
ポイント2 材料をまとめるつなぎとして
ハンバーグや肉団子のつなぎとして使うのも、簡単に取り入れられる使い方です。
注意点としては、米粉のでんぷんの特性で、時間がたつと小麦粉よりも締まった感じになるので、温かいうちに食べる場合は、小麦粉と同じ感覚で使い、お弁当に入れるなど、冷めた状態で食べる場合は、作るときに、いつもより軟らかめに出来上がるように米粉の量を調整すると、冷めても締まって硬くなったような違和感がありません。
米粉100%で作ったミニバンズパンにハンバーグ(お肉のつなぎに米粉を入れたもの)を挟んだミニバーガーです。
ポイント3 カラッと揚げ物の衣に
小麦粉と比べて吸油率が低い(油を吸い込みにくい)のでヘルシーな上、米粉のでんぷんの特性で少ない水分量で調理すると硬くなるため、揚げ物がカリッと仕上がります。また、時間がたっても衣がしんなりしないので、おいしさが持続する感じがします。料理の腕がなくても、カリカリサクッとおいしい揚げ物ができるなんてうれしいですね。
おからを使った具を丸めて、米粉の溶き粉にくぐらせ、米粉の加工品である玄米フレークを砕いてパン粉代わりに付けて、油でからりと揚げたコロッケです。
ポイント4 しっとりもちもちスイーツを作る
小麦粉にはグルテンというタンパク質が含まれるので、パンはふっくら焼き上がります。米粉より脂質も多いため、クッキーなどはサクサク感が増します。グルテンがない米粉でパンを焼く場合には、ちょっとしたこつが必要なのです。
食パンを作るには水分を多めにドロドロした状態で、米粉に足りない脂質や繊維を加えること、パン酵母の量を多めにすることで対応します。卵を使えば、米粉のケーキは小麦粉のケーキと同じように焼けるので、ぜひ試してみてください。
米粉には米粉の良さがあって、それを生かしたスイーツ作りが成功の秘訣(ひけつ)だと思います。小麦粉のパンとまったく同じように作れることが必ずしも良いわけではありません。シフォンケーキやパンケーキ(ホットケーキ)は、しっとりもっちりとして米粉の良さがよく出ているものの一つです。チーズケーキやブラウニーみたいに目が詰まってどっしりした感じのケーキは簡単に代替できます。
しっとりもちもちの米粉マフィンは豆乳を使ってよりヘルシーに! ココアをたっぷり入れて、チョコレート風味にしています。