ほっと一息

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2022.07.06

教えて檜山さん! 夏の防災天気予報

JA広報通信6月号

気象予報士・防災士 檜山靖洋(ひやまやすひろ)

イラスト:服部新一郎

夏は自然災害が多く発生する季節です。
お出かけ前に天気予報をしっかり確認して防災に役立てたいものですね。
朝のニュース番組でおなじみの気象キャスター・檜山靖洋さんに、注意すべき気象用語を解説してもらいました。

 

非常に激しい雨

 1時間に50mm以上を「非常に激しい雨」、1時間に80mm以上を「猛烈な雨」といいます。いずれも水しぶきで辺り一面が白くなるくらいで、傘はまったく役に立ちません。1時間に50mm以上の雨が降ると、道路の冠水などが発生することが多く、何か被害が出るかもしれないと警戒する目安の一つでもあります。天気予報に「非常に激しく降る」という表現が付いたら、あらかじめ警戒してください。

 

 

ゲリラ豪雨

 天候が急激に悪化して集中豪雨に見舞われるタイプの雨です。発達した積乱雲がもたらすため、雷やひょう、竜巻などの突風を伴うことも。安全な建物の中などで落雷や突風から身を守ってください。ひょうが降れば、農作物への影響もあります。気象情報で「大気の状態が不安定」というキーワードが出たら、ゲリラ豪雨に要注意です。

 

 

記録的短時間大雨情報

 おおむね1時間に100mm以上の雨が観測された場合に発表されます。数年に1度程度しか発生しないような短時間の大雨で、非常に危険な降り方です。すでに浸水などが発生している可能性があり、すぐに安全の確保が必要です。

 

 

 

大雨特別警報

 数十年に1度しか経験しないような大雨のときに発表されます。すでに災害が発生していてもおかしくない状況です。無理に移動せず、その場で命を守る行動を取ってください。特別警報を待たず、特別警報が出る前に避難を終わらせる必要があります。

 

 

 

線状降水帯

 活発な積乱雲が線状に並ぶと、同じ場所に次々と雨雲がかかり、非常に激しい雨が数時間続き、記録的な大雨になる恐れがあります。線状に連なる雨雲により、3時間の雨量が150mm以上の所があり、災害の危険度が高まっているとき「顕著な大雨に関する情報」が出ます。このようなときは危険な場所からは直ちに避難することが必要です。

 

 

危険半円

 台風の通過が予想される際は、中心のどちら側に入るかにも注目してください。台風の進行方向右側は危険半円と呼ばれ、左側に比べて風が強くなるため、注意が必要です。なお雨の降り方は右側と左側に関係なく、台風によってさまざまです。

 

 

 

高潮

 台風や発達した低気圧が接近すると、気圧が下がることで海面が吸い上げられ、強い風によって海水が海岸に吹き寄せられます。このため潮位が上がり、沿岸に海水が流れ込むことがあります。湾の奥に向かって暴風が吹くときは、特に警戒が必要です。

 

 

塩害

 台風が近づいてきたときなどに、強い風が海上から陸地に向かって吹くと、塩分粒子も運ばれます。植物にその塩分が付着して枯れたり、電線に付着して停電したりすることがあります。建物の外壁に塩分が付着して、腐食の原因にもなります。塩風が収まって、その後雨が降れば塩分が落ちますが、雨が降らないときは、水で洗い流すなど対策が必要です。

 

 

 

オホーツク海高気圧

 1993年の夏、梅雨明けは特定できず、日本は冷害に見舞われて、米の生育が記録的に悪くなりました。オホーツク海に冷たい高気圧ができると、北東から冷たい風が吹き、東北の太平洋側や関東などに低温をもたらします。オホーツク海高気圧が強い夏は要注意です。

 

 

猛暑日

 最高気温が35度以上の日のことです。近年の高温傾向を背景に、2007年から正式な用語になりました。猛暑日の日数は増加傾向で、最近30年の平均は、1900年代前半と比べて約3倍です。なお、最高気温40度以上が観測されることも、2007年ごろから増えています。

 

 

 

熱中症  警戒アラート

 2021年から全国で発表されています。当日、翌日の暑さ指数が33以上になると予想されるとき発表されます。暑さ指数は、気温だけでなく湿度や日射などの要素も入れて計算されるため、熱中症の危険度を表しているといえます。

 

 

 

熱中症対策

 熱中症対策の基本は、暑さを避けることと水分を補給することです。室内では冷房を適切に使い、室温が28度を超えないようにしてください。屋外作業では、日陰、風通しの良い場所、冷房の効いた場所で小まめに休憩を取りましょう。水分補給は、喉が渇く前に行い、30分に1回コップ半分飲むなどと決めておくのが良いでしょう。