ほっと一息
2022.07.03
なくそう食品ロス 干しきゅうり
JA広報通信6月号
食品ロス問題ジャーナリスト●井出留美
私の義父母は長野県で野菜や米を作っています。夏になると、キュウリがたくさん採れるので送ってきます。キュウリは、あまりにたくさんあると、どうやって食べ切ればいいか、分からなくなることもあります。そんなときに便利なのが「干す」という方法。料理研究家の有元葉子さんの著書『「使いきる。」レシピ』(講談社)で知りました。でも、最初は「キュウリを干す? 半干し? おいしいのかな?」と半信半疑でした。
やり方はこんな感じ。キュウリを洗って、斜め輪切りにします。そして、ざるなどに並べて、庭先やベランダに干しておくのです。有元さんいわく、「触るとまだしなっとする程度に水分の抜けた〈半干し野菜〉」。
なんとなく水分が抜けたら、ボウルに入れて塩もみし、ごま油や砂糖、しょうゆ、酢などであえると、おかずの一品やお酒のつまみにぴったり。キュウリは生で食べても歯応えがありますが、半干しにすると、さらにかみ応えが増すので、満足感があります。
有元さんの著書では、キュウリの他、ダイコン、ナス、トマト、キノコ、タマネギ、サヤインゲン、セロリ、ズッキーニ、ジャガイモなど、干し野菜に向かない野菜はないかもしれないくらい、と書かれています。
家庭で最も捨てられる食材は「野菜」。民間企業の食品ロスの調査でも、キュウリは、家庭で捨てた食材の1位に何度か挙げられています。
なぜ捨てられやすいのか。野菜は水分が多く、早く傷みやすいことも要因の一つでしょう。干すことで野菜の栄養価やうま味が凝縮され、日持ちも良くなります。エノキタケは、干しておくと、みそ汁のだし&具としても使えます。
この夏、キュウリがたくさん手に入ったら、「半干し」してみてはいかがでしょう。もちろん、キュウリ以外の野菜でも「干す」という技、ぜひ使ってみてください。
干しきゅうり(著者撮影)
食品ロス問題ジャーナリスト 井出 留美(いで るみ)
株式会社office3.11代表取締役。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。『食べものが足りない!』『SDGs時代の食べ方』『捨てないパン屋の挑戦』など著作多数。