ほっと一息

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2022.04.18

介護ハンドブック 介護を頑張り過ぎて、母から嫌がられた……

JA広報通信3月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 

 家族のために役に立ちたい気持ちが空回りして、かえってトラブルに発展してしまうことがあります。

■コロナ禍中に母ががんに!

 40代の会社員Hさんのケースです。実家で1人暮らしをする母親が、昨年のコロナ禍のさなかに大腸がんの手術を受けました。幸いなことに早期発見であったため、回復は順調です。しかし、コロナ禍で面会や付き添いがかなわなかったHさんは、心残りでなりません。
 Hさんは、片道2時間半かけて毎週末実家に通い、買い物や家の片付けなどのサポートを積極的に行いました。ところが、2カ月が経過したころ、母親から「毎週のように来てもらうのは、申し訳ないよ」と断られてしまいます。Hさんは「遠慮しなくていいのよ。私がそうしたいんだから」と食い下がりましたが、母親は「頻繁に来られると、実は気疲れするの」と打ち明けたのです。良かれと思ってやっていたサポートですが、Hさんが帰った後は寝込むほど疲れていたようです。

 

 

 

■介護者自身が良い状態でいよう

 母親にできる限りのことをしたかったHさんは、ショックを受けました。しかし、中学生の娘から「おばあちゃんの所に行き始めてから、怒りっぽくなった」と言われて、ハッとしました。母親のためにと頑張るあまり、自分も疲れていることを自覚していなかったのです。
 Hさんは母親の希望を聞き、月に数度、テレビ電話をすることにしました。実家通いを減らしたことで、時間だけでなく気持ちにも余裕が生まれ、夫や娘とのけんかが激減しました。さらに、母親との会話も弾むようになったそうです。
 家族が病に倒れると、何かしてあげなければと思うものです。しかし、介護者自身がご機嫌な状態でいることの方が、サポートする以上に良い効果を生みます。うまくいかないなと感じたときは、自分のための時間をつくるよう意識しましょう。