ほっと一息

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2022.03.21

ストップ! 農作業事故 事故防止に向けた対策事例

JA広報通信2月号

人間工学専門家●石川文武

 

 

 事故の要因は、人、機械、環境、経営の面から分析され、いろいろな対策が施されます。

 今回は、環境面を中心とした農林水産省の対策事例(農業生産基盤整備事業など)を紹介します。もちろん、対策を実施するためには時間と経費がかかりますが、工夫次第で確実な成果が得られるはずです。

 

リンゴ園における簡易基盤整備

青森県のリンゴ園は緩傾斜地や傾斜地に多く、スピードスプレーヤーが安全に走行しにくい場所があります。そこで園内道は幅員を2m程度、縦断勾配を10度以下、横断勾配を山側傾斜マイナス3度から谷側傾斜プラス3度の範囲で緩くすることとし、安定性を高めています。旋回部では安全に旋回できる曲線半径として中心線で3m以上(内側半径で2m以上)を設計指針として策定し、整備を進め、転落・転倒事故の軽減を目指しています。

 

棚田地域の用排水環境の改善

水路が棚田の間を流れている地域では、護岸は石積みで高低差が大きく、水路内の縦断勾配も大きいため、水路維持の労力が大きく、作業者が転倒・転落する危険がありました。省力化と危険回避のため、水路敷地内に計画流量を流せる断面のコンクリートU字溝を敷設し、両側上部にコンクリートを張ることで管理用の犬走りとして管理を容易にできるようになりました。また、水路底を階段状に整備することで水勢が弱められ、水路内作業も安全に行えるようになりました。

 

のり面の植生による草刈りの危険低減

山間部の小面積圃場(ほじょう)を整備したところ、長大なのり面ができ、除草作業がきつく、事故の可能性も高くなっていました。そこで、排水路ののり面に地被植物(ヒメイワダレソウなど)を植生することとしました。その結果、土砂の流出や雑草の繁茂を抑制でき、のり面の維持管理労力が軽減され、安全性が向上しました。

 

 

筆者よりごあいさつ

 今回が最終回です。9年間にわたりご愛読ありがとうございました。