ほっと一息

ほっと一息

2022.02.28

季節の室礼(しつらい) ひな祭り

JA広報通信2月号

和文化講師●滝井ひかる

 

 

 3月3日はひな祭り。五節句の一つで「上巳(じょうし)の節句」ともいいます。江戸時代には幕府の公式な行事でもありました。

 この時期、宮中の装束を身にまとった人々が、曲がりくねった小川の所々に座り、和歌を詠む。上手から杯が流れてくる間に和歌を作り、流れてきた杯でお酒をいただき、また次の人へ流す……、といったみやびな情景を、ニュースなどで見たことはないでしょうか。

 これは「曲水(きょくすい・ごくすい)の宴」という上巳の節句にちなんだ行事で、中国から伝わりました。

 流しびなという風習もあります。これは、女の子のやくをひなに移し、流して清めるという行事です。『源氏物語』にも、人の形をした形代(かたしろ)を流しておはらいをする、という場面が描かれています。

 どちらの行事も旧暦(4月)だと、もう少し暖かく水もぬるむ季節なので、イメージが湧きますね。他にも旧暦だと潮干狩りが始まり、ひな祭りの行事食に欠かせないハマグリのシーズン。合わせ貝は、おひなさまのように仲むつまじい一対の象徴でもあります。

 室礼では、女の子の成長を願って真っすぐな枝ぶりの桃を生けます。小石、ひなあられなどで曲水を見立て、そこを流れるように杯や流しびなを置き、「上巳の節句」をお祝いしましょう。