ほっと一息

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2022.02.19

野菜のルーツ 孟宗竹は外来種――タケノコ(イネ科)

JA広報通信2月号

植物ライター ●岡田比呂実

 

 タケノコは竹類の若い茎。代表格は孟宗竹(モウソウチク)でしょう。広く流通し、最も大形で肉厚です。水煮は一年中手に入りますが、掘り立てが出回るのは春の限られた期間のみ。産地によって異なりますが、旬は3~5月ごろです。早いものは年末ごろ出始め、料亭などで利用されるようです。

 孟宗竹は、もともと日本に自生する竹と思われがちですが、実は原産地は中国江南地方。導入された時期は意外に新しく、元文元(1736)年のことだそうです。薩摩藩主が琉球から持ち込み、現在の鹿児島市内に植えたのが最初といわれています。安永8(1779)年には江戸の薩摩藩邸前に植えられ、文化年間(1810年前後)になると、江戸のあちこちに大きな竹やぶが見られたそうです。もちろんタケノコは、江戸の八百屋の店頭に並びました。その後、急速に全国に広まり、ポピュラーな竹になっていきます。

 

 

 ほかにもタケノコがよく利用されるものに、真竹(マダケ。苦竹とも。旬は5~7月中旬ごろ)、淡竹(ハチク。旬は4~5月)などがあります。九州では寒山竹(カンザンチク)が、北海道や本州の日本海側の山地では、自生の根曲がり竹(ネマガリダケ)が利用されるなど、地方色の強いタケノコもあります。

 それぞれ風味や肉の厚さ、食感などに特徴があり、子ども時代から地域で慣れ親しんだタケノコをおいしく感じる傾向があるようです。なにしろ掘り取って時間がたつほどえぐ味が増しますから、鮮度が命。土地のものを最もおいしく感じるのは当然かもしれません。

 栄養的にはカリウム、亜鉛、銅などのミネラル分を多く含みます。食物繊維も豊富で、大腸や直腸がんのリスクを軽減させるといわれる健康野菜です。