ほっと一息

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2022.01.23

野菜のルーツ 清正ニンジンの名も――セロリ(セリ科)

JA広報通信2月号

 植物ライター ●岡田比呂実

 

 セロリは産地を変えて周年流通しますが、出荷量のピークは春先ごろ。野生種は地中海沿岸を中心に、ヨーロッパ、アジア西部、北アフリカなどの温帯地域に広く分布します。セリ科にはパセリやミツバなど、香りの強い野菜が多いですが、セロリもその一つ。古代ギリシャ・ローマ時代から薬用、香味料として利用されてきました。  栽培は16世紀以降にイタリアで始まったらしく、ヨーロッパ各地に広まっていきました。19世紀にはアメリカに伝わり、現在では世界有数の生産国となっています。

 

 中国にも古い時代に伝わり、野生種に近い小形のセロリが芹菜(キンサイ)の名で栽培されています。香味野菜のコリアンダーと見まがうきゃしゃな姿で、香りもより強いのが特徴です。日本では葉柄の太いがっしりした品種が主流ですが、芹菜のほか、野趣のある小形品種が、スープセロリやミニセロリの名で流通しています。

 

 日本へ初めて渡来したのは、16世紀末、豊臣秀吉の朝鮮出兵の折だといわれています。加藤清正が持ち帰ったとのいわれから、当時、清正ニンジンと呼ばれたそうです。これは芹菜に近い東洋系のタイプだったようです。江戸期には西洋系の品種がオランダ人によってもたらされ、オランダミツバと呼ばれました。しかし特有の香りの強さから、長いこと普及しませんでした。昭和30年代以降、食の洋風化とともに食卓に上るようになった野菜の一つなのです。

 

 

 セロリは生野菜サラダ、特に棒状に切った野菜スティックにはもってこいのシャキシャキ感が魅力です。特有の香りには好みが分かれますが、肉や魚の臭み消しとして洋風の煮込み料理や、スープの風味づけにも重宝されます。魚介類との中華風いためや、意外なところでは、ぬか漬けや浅漬けも結構いけます。意外と応用範囲の広い野菜なのです。