ほっと一息
2022.01.17
資産管理の法律ガイド 売買について その21
JA広報通信1月号
JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎
今回は対象土地の面積に違いが生じたときの説明をします。
AがBにA所有の土地150平方mを代金1500万円で売却したとします。売買をした後、対象の土地を測ってみたら140平方mしかないとき、Bはどう対応すればいいのでしょうか。
150平方mで1500万円ですので、140平方mなら1400万円になるので、代金100万円を戻せということになるのでしょうか。
2017年の民法改正前でしたら、1平方m当たり10万円という条件で売買していたとすると、数量指示売買となりました。数量指示売買では、買い主Bが面積不足を知らないときには、代金の減額請求が可能でした。しかし、1平方mいくらだから代金合計がいくらになる、との取り決めがないときは、錯誤による契約か否かが問題とされていました。
民法改正の後は、面積不足のときは数量指示売買か否かにかかわらず、相当期間を定めて催告の上、不足分の履行を求めることになります。
また、不足分の履行ができないときは、催告なしに代金減額の請求をすることが可能です。ただし、減額がいくらかの問題はあります。
もちろん、150平方mなければ買う目的を達成できないときは、契約解除などの問題になります。
このように、面積に違いが生じるとトラブルになりますので、対象土地について隣地所有者との境界確定をしておくことが重要となります。売り主側としてはこういうトラブルを予防するため、面積に違いが生じても買い主が異議を主張しない旨の約束を取り付けておきましょう。
次回は対象土地の欠陥について説明します。