ほっと一息

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2022.01.13

介護ハンドブック 兄弟が介護に無関心。不公平では?

JA広報通信1月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 

 介護に非協力的な兄弟の心情はさまざまです。距離を取ったり無関心を装ったりするだけでなく、自分の不安や弱さを隠すために、理不尽な暴言を投げ掛ける人もいます。

父との面会を拒否する兄

 50代の会社員Aさんのケースです。父親が認知症の診断を受けた2年前から、老老介護を担う母親を助けるために実家に通っています。近くに住む兄は「親父が弱っていく姿を見たくない」と2年以上会いに来ていません。父親の認知症の症状が進み、母親も足腰が弱り、Aさんの負担は大きくなる一方です。
 このケースでは「弱っていく親を見るのがつらい」と、自分の気持ちを率直に伝えている分、誠実であるともいえます。しかし、両親を間近でサポートしているAさんにとっては、兄が逃げているようにしか見えないかもしれません。

 

明るい情報を伝え続ける

 Aさんには、日常の何げない明るい話題からやりとりを増やすよう勧めました。不安を感じている人に対しては、安心できる情報を少しずつ伝えると効果的だからです。Aさんは、「母が大事にしているアジサイが咲いた」「デイサービスでお誕生日会をしてもらって、父はご機嫌だったらしい」など、ポジティブな話題や写真を意識して送ってみました。最初は返信がなかったのですが、1年後、3年ぶりに兄が実家に顔を出してくれたのです。今では、通院時に車で送迎をしてくれるなど、協力も少しずつ増えているそうです。Aさんの介護負担が全て解決したわけではありませんが、心理的ストレスは大きく減りました。

 

 家族関係の修復には時間がかかります。その間の介護負担を軽減するために、プロの力を借りることも意識しましょう。ケアマネジャーに「兄弟の協力が得られず、つらい」と、気持ちを伝えるだけでも良いのです。1人で介護を抱える苦しさを打ち明ける機会をつくってください。