ほっと一息

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2022.01.12

ストップ! 農作業事故 ROPSの効果

JA広報通信1月号

人間工学専門家●石川文武

 

 

 トラクターに装着されている安全フレームや安全キャブのことをROPSといいます。意味は、転倒時に運転者を守る装置、ということで、90度または180度の横転倒や後方転倒で運転者がトラクターの下敷きにならないような強度が要求されています。農作業死亡事故で最も多いのがトラクター関係で、そのうち60~70%が転倒・転落事故によるものです。橋の欄干からの転落や土手からの転落事故に対しては、2m程度の落差であれば防護されますが、それ以上の転落については十分な強度がないといわれています。かつては、運転者がむき出し状態で作業しており、転倒時にトラクターの下敷きになり重大事故となっていましたが、ROPSが開発され、装着の義務化が進んでからは、転倒事故による死亡者が減ってきています。農研機構の2005年度調査(ROPSあり73件、ROPSなし107件)によれば、死亡3%対25%、無傷70%対49%とROPSの効果が認められています。

 ROPS付きであっても、事故時に負傷・死亡する例があり、それは、柱などにぶつかったり、安全フレームの外に逃げ出そうとして下敷きになったりするためです。転倒時にけがをしないためには、シートベルトを使うことです。シートベルトとヘルメットの使用でけがの割合も小さくなることが確認されています。また、ROPS付きでの死亡例のうち、2柱式フレームで倒したまま使っていたことが原因とみられるものが多くなっています。果樹園やハウス内では倒して使っても構いませんが、そうでない場所では必ず立てて使いましょう。

 安全キャブは作業環境改善の意味もあります。雨や風、太陽熱の影響を小さくすることが可能となり、エアコン装備で快適さも増しています。最近のトラクターにはROPSが標準装備となっていますが、未装備のトラクターにも後付けできる場合があります。販売店にご相談ください。