ほっと一息

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2021.12.18

資産管理の法律ガイド 売買について その20

JA広報通信12月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 

 今回は土地の筆界と所有権界について説明します。

 

 地番が100番という土地と、地番が101番という土地が、公図では接していたとします。通常は、100番の土地の所有権の範囲は、図面や現地で設置された境界の石で囲まれた範囲になります。

 

 しかし、厳密に考えると、100番の土地の範囲はどこかという問題と、その範囲の土地の所有権者は100番の土地の所有者かという問題は、別の問題になります。

 100番の土地と101番の土地の境はどこかという問題は、100番とされている土地と101番とされている土地の境界はどこかという問題であって、100番の土地とされている土地の所有者が誰かは関係ありません。

 具体的には、101番の土地の所有者が100番の土地の境界を越えて長年占有を継続していると、その越境部分について所有権の時効取得が可能となり、時効の援用があると、100番とされている土地の一部は101番の所有者の所有地ということになります。つまり、地番の境、筆界はどこかということと、所有権界とは常に一致するとは限らないのです。

 

 法務局の筆界特定制度、裁判所で行う境界確定訴訟は、筆界はどこかを決める制度であり、所有権界を決めるものではありません。そのため、自分の所有地の範囲を主張する裁判では、所有権の範囲と地番の範囲が異なることも考えられます。その意味でも、地番の境だけではなく所有権の境についても、隣接所有者との合意を得ておきましょう。次回は、対象土地の面積に違いが生じたケースを説明します。