ほっと一息

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2022.01.02

私たちの歴史・文化を見直そう 日本の行事食 カレンダー

JA広報通信12月号

監修:奥村彪生料理スタジオ
イラスト:とよだ時

 

季節ごとの行事やお祝いの日に食べる特別な料理、「行事食」を通じて私たちの歴史や文化を再確認してみませんか。

 

 

一月

正月 ● 雑煮
7日 ● 七草がゆ
15日 ● 小豆がゆ

 雑煮は室町時代、京都で生まれたといわれる。今は家内安寧、家業繁盛など人それぞれの願いを年神様に祈り祝う。七草がゆは平安時代、殿上人の叙位の日に当たり、名を成すに掛けて食したそう。15日の小豆がゆは豊作を祈って奈良時代から食している。

 

二月

節分 ● いり大豆 イワシ
 大阪では大正時代、イワシと麦飯を食って長寿を祈った。玄関にイワシの頭とヒイラギを飾るのは臭いととげで病魔を追いやるため。イワシの頭も信心から。

 

 

三月

ひな祭り ● まぜずし・貝料理
春の彼岸 ● ぼた餅
 まぜずしに上置きする錦糸玉子、紅しょうが、絹さやなどの彩りは春の明るさを表現する。貝は家持ちで金に関する漢字が多い。「入るを企(はか)って出るを制せば財を成し、散財すれば貧する」。春の彼岸は花の季節に合わせたぼた餅。

 

 

四月

花見 ● 花見弁当
 人はなぜかかすみたる空にはんなりと咲く妖艶な桜の花に酔う。元禄の頃、旦那衆の花見弁当は豪勢だった。欠かせないのは桜餅。江戸は小麦粉の焼き桜。上方(京坂)は蒸した道明寺粉。塩漬けの大島桜の葉がかぐわしい。

 

 

五月

こどもの日 ● ちまき かしわ餅
 ちまきは弥生時代からある。粽(ち)菅(がや)で角形の筒を作ってもち米を入れた。今はうるち米の粉(うるち米の粉ともち米の粉を混ぜたものもある)を用い、ササの葉で包む。ササの爽やかな香りで保存性を高める。かしわ餅は江戸中期から。西日本にはサンキライの葉を用いる土地もある。

 

 

六月

茅(ち)の輪くぐり ● 水無月(外郎〈ういろう〉)
夏至 ● タコ
 雨が多い月なのに水無月とはこれいかに。行事食は少ないが、京都では甘煮の小豆を散らした水無月と呼ぶ菓子を食す。残り半年の無事を祈るためだ。土地により、夏至にタコを食す。

 

 

七月

七夕(しちせき) ● そうめん
『万葉集』 ● ウナギ
 なぜ、たなばたという。飛鳥・奈良時代、神に供える絹布を織る機をいった。織る女の技術の上達を乞い、索餅(さくべい:そうめんの祖)を糸に見立ててけん牛、織り女の両星に供えた。ウナギは「夏痩せによしと言ふものぞ鰻(むなぎ)取り召せ」と『万葉集』にある。

 

 

八月

盂蘭盆会(うらぼんえ) ● 精進料理
 お盆は先祖の供養だけではなく、夏作物の収穫祭でもあった。精進料理を作って供え、かつ食した。今は作る家は少ない。精進揚でも作って盛夏を乗り切りたい。タンパク質や炭水化物など以外に油脂も大切。油断大敵というではないか。

 

 

九月

重陽の節句 ● 浮き菊の酒
月見 ● 萩の餅
 奈良時代、杯の酒に菊の花弁を浮かべて長寿を祈った。菊なますもうまい。月見にススキを飾り、月見団子を供え、萩の餅は大好物で共に手作りして一家だんらん。そんな心の余裕が欲しい今。

 

 

十月

秋祭り ● 小豆入りおこわ(赤飯)
 おめでたい日に作るおこわの中で、ふくいくとしたもち米と小豆の香が秀でているのは新物で作る秋祭りの頃。小豆のゆで汁を練れば練るほど赤い色が映えた。添えるごま塩の黒は小豆の色を際立たせる。アワ蒸しもいい。

 

 

十一月

七五三 ● 千歳あめ
 日本人は奇数を好む。3歳の女児、5歳の男児、7歳の女児の健やかな成長と守護を願って宮参りをする。お土産は千歳あめ。始まりは18世紀初頭。江戸・浅草のあめ売りが千歳あめと文字を入れたあめを長袋に入れたのが始まり。

 

 

十二月

大みそか ● みそかそば
 昔、江戸では大みそかは借金の取り立て日。庶民はツケで買い物をした。支払いは盆と大みそか。商人はツケの回収に必死。無事終わり、ヤレヤレと出前のそばを食べて新年を迎えた。「安堵(あんど)して年越しそばを食う夜かな」の川柳あり。

 

 

※行事食の由来には諸説あり、使用する食材も地域により違いがあります。