ほっと一息

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2021.11.22

介護ハンドブック 別居の家族が、介護方針に口を出す

JA広報通信11月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 

 介護は兄弟、親族での平等な負担が難しいものです。この負担は各家庭の状況によってまったく異なるため、他人の助言がかえって主介護者を追い詰めることがあります。

 認知症の母親を実家で7年間介護し、在宅介護に限界を感じたDさんは、ケアマネジャーの勧めでグループホームへの入居を申し込みました。ところが、他県に住む姉から「施設なんてまだ早い!」と反対されてしまいます。Dさんは「もう少し頑張った方がいいのかも……」と迷いが出てきました。

■判断基準は「負担軽減」
 他人の助言に不安や迷いを感じたときの判断基準は「介護する自分が楽になるかどうか」です。自分の負担を軽減できるのであれば、アドバイスの一部採用を検討してみましょう。軽減できないばかりか、より負担が増す可能性がある助言については、「理想的かもしれないけれど、できない」と断りましょう。「介護の状況を分かっていない!」と、相手の無理解を指摘して争う必要はありません。

 逆に、介護疲れを指摘されたり、ショートステイや施設入居を勧められた場合は、介護疲れのサインです。「私は大丈夫」「もっと頑張ればなんとかなる」と感じるかもしれませんが、休息が必要です。

 

■専門家の意見を仰ぐ
 助言を拒絶しにくい関係性の場合は「そういう方法もあるんですね」「ケアマネジャーに聞いてみますね」といったん受けたように装うのも一つの方法です。また、検討する際は、ケアマネジャーに「〇〇した方がいいと助言されたのだけれど、どう思いますか?」と、専門家の意見を求めてください。

 入居を撤回しようかと迷ったDさんでしたが、ケアマネジャーに「もう限界ですよ」と強く反対され、母親の入居が決まりました。Dさんは「つらい決断でしたが、正解でした。姉の言葉に従っていたら、共倒れになっていたはず」と振り返ります。主介護者のご自身を守ることが、大切な人を守る一番の手段です。