ほっと一息

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2021.10.30

介護ハンドブック 母親が入院! 父親の世話でヘトヘトに……

JA広報通信10月号

介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子

 

 介護者が疲弊する要因として、実質的な介護以外の負担も挙げられます。ごみ箱のごみを袋に入れて出す、トイレットペーパーの補充といった名もなき家事に、地域の交通立ち番や町内会など、要介護者が担ってきた役割が、介護者に一気にのしかかります。

 

■家事代行・宅食サービスは必須
 母親(70歳)が脳梗塞で入院した、営業職のFさん(40代女性)のケースです。主治医から「リハビリをすれば、歩けるようになる可能性が高い」と言われてホッとしたのもつかの間、思わぬ問題が起きました。それは1人残された父親(73歳)が、洗濯機や電子レンジの使い方が分からないほど生活能力がなかったことです。Fさんは、介護が必要な母親よりも、元気なはずの父親の世話で疲れ果ててしまいました。

 このような場合は、介護保険外サービスを積極的に活用してください。負担をゼロにできなくても、時間の余裕ができ、心理的負担が大きく減るからです。Fさんの場合、母親が入院中の2カ月間と退院直後の1カ月間、水回り掃除の家事代行を週1回、宅食を週3回利用しました。介護保険でも生活支援サービスで掃除をお願いすることはできますが、家族の共有スペースであるトイレやお風呂などの掃除は対象外です。その後は、母親が司令塔になり、父親が家事経験を積めるようになるまで、保険外サービスをピンポイントで利用しながら乗り切りました。

■サービスの利用に慣れておく
 介護保険サービスをフルで利用しても、介護による負担は何かしら残ります。夜間や早朝などは家族が介護を担わざるを得ませんし、地域の役割を交代してくれるサービスはありません。だからこそ優先順位を付け、保険外サービスで代替できるものはどんどん利用しましょう。
 「他人に家に入ってほしくない」「それぐらい自分でしなければ……」と抵抗を感じる人も多いかもしれません。元気なうちに外部サービスの利用をお試しで体験してみるのも一案です。