ほっと一息
2021.10.27
季節の室礼(しつらい) 立冬
JA広報通信10月号
和文化講師●滝井ひかる
暦の上では立冬。紅葉・照葉・落葉の季節ですね。この時期に、まるで春のように暖かい陽気が戻ることがあります。冬の季語では「小春日和」といいます。春先の暖かい日のことを指す言葉ではないので、気を付けてくださいね。
11月には、関東地方を中心に酉(とり)の市が立ちます。11月の酉の日に、各地の鷲(おおとり)神社や大鳥神社で、開運招福や商売繁盛を願って開かれます。
酉の市で縁起物として売られている熊手。元来、酉の市では農作業具が売られていました。物を掃き寄せる熊手が運を「とり」込む、福を招き寄せる、とされています。
熊手には、松竹梅や稲穂、米俵、おたふく、七福神などが付いています。10月20日や11月20日に行われるえびす講や、関西の十日戎(えびす)の縁起飾りに似ていますね。
立冬の時期の室礼は、色づいた実(み)物やつる物で、リースやスワッグ(壁飾り)を作って飾るのはいかがでしょう。ドライの実は落ちやすいですが、つる性の植物は多少折れても自由に絡ませることができます。
紅葉狩りの思い出の、紅葉やイチョウの押し葉を散らすのもいいですね。熊手と箕(み)を飾ってぜひ福を取り込みましょう。