ほっと一息
2021.09.28
毎日の食卓に! 小豆大研究
JA広報通信9月号
イラスト:服部新一郎
日本人に最もなじみのある豆の一つ、小豆。
低脂肪で高タンパク質、ヘルシーな上に不足しがちな栄養素を豊富に含む、魅力的な食材です。
毎日の食事にぜひ取り入れたいですね。
小豆について
小豆と書いて「あずき」と読みます。江戸時代の学者・貝原益軒の『大和本草』(やまとほんぞう)によると、「あ」は「赤色」、「つき」「ずき」は「溶ける」の意味があり、赤く、煮ると皮が破れて崩れやすいことから「あずき」になったといいます。
主要産地は北海道で、国内生産の9割以上を占めています。小豆には普通の赤色の小豆の他、粒の大きな「大納言」や黄白色の「白小豆」などの種類があります。関東地方で赤飯に使われることが一般的な「赤ささげ」は、姿・形が小豆によく似ていますが別の種類の豆です。
小 豆
小豆の栄養と健康
粒は小さくても栄養価に優れている小豆。低脂肪、高タンパク質で、不足しがちなビタミンB群や各種ミネラルを豊富に含んでいます。
最近では、小豆に含まれるポリフェノールや食物繊維といった機能性成分の多さも注目されています。強い抗酸化作用を持つポリフェノールは、免疫力の増強や抗アレルギー作用、動脈硬化の予防など、さまざまな効果があるといわれ、食物繊維には便秘の予防や発がん物質など有害物質の早期排出の効果もあると考えられています。
健康効果が期待できる「あん粒子」
あん粒子は、小豆やいんげん豆などでんぷんが多い豆類を加熱するとできる特有の成分で、タンパク質の膜がでんぷんを包み込んだ粒子です。食物繊維の量が乾燥豆のときより大幅に増加する特性があり、消化されにくく食物繊維と同様に働きます。脂質代謝、腸内免疫作用の改善など健康効果が期待されています。
ゆでてあん粒子化した金時豆の細胞(顕微鏡写真)
紫色・・・糊化したでんぷん
薄黄色・・・細胞壁
線・・・タンパク質の皮膜
※細胞の構造がはっきり分かるよう、でんぷん粒を彩色して撮影
小豆を毎日の食事に
赤飯やいとこ煮など伝統的な料理以外は、和菓子など甘い食べ物に使われるイメージが強い小豆ですが、栄養価の高さ、機能性成分の豊富さから、毎日の食事にぜひ取り入れたい食材です。
料理に使う際は下ゆでをする必要があり、手間がかかって面倒に思われるかもしれません。でも、一度に多めにゆでて小分けにして冷凍保存すれば1カ月は持ちます。もう1品欲しいときやトッピングなど、すぐに使えるので重宝します。スーパーなどで、水煮やゆで小豆の缶詰、レトルトパウチ製品が出回っているので利用してもよいでしょう。また、乾燥豆は賞味期限が常温で2年間と長期保存が可能なので、買い置きをお勧めします。
歴史に見る小豆と日本人の関わり
日本では、縄文時代から古墳時代前期まで、遺跡から小豆の炭化種子が発見されています。小豆の名は、奈良時代初期の『古事記』に初めて登場します。中国に始まり、朝鮮半島を経て日本に伝えられたとされる習俗では、小豆の赤色に魔よけなどの神秘的な力があると信じられ、行事や儀式などに供されてきました。