ほっと一息

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2021.09.18

資産管理の法律ガイド 売買について その16

JA広報通信8月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 

 今回は登記簿謄本に仮差し押さえの登記が付いている物件の売買について説明します。

 仮差し押さえとは、ある人が相手方に対して金銭支払いの請求権があると主張しているとき、相手方の財産が裁判中に散逸されてしまうのを防止するため、裁判前に相手方の財産に登記を付け自分の金銭支払い請求権を保全するもので、仮差し押さえをするためには、裁判所に申し立てをして決定をしてもらう必要があります。

 つまり、仮差し押さえは金銭支払いがなされるのであれば、仮差し押さえをした対象物を自分のものにする必要性はないことになります。そのため、仮差し押さえが付いている物件でも売買は可能です。

 売買に当たり注意すべきことは、仮差し押さえの登記が抹消されるのかどうかです。売買自体は一般的な処理の仕方で構いません。ただ、知っておくべきは、仮差し押さえの登記の抹消には、仮差し押さえの裁判の取り下げと裁判所を介して法務局に仮差し押さえの登記の抹消の嘱託がなされるという点です。司法書士の方を介して仮差し押さえの登記の抹消がなされるわけではないのです。この場合、売買をして所有権の登記は法務局に司法書士が申し立てますが、同時に裁判所に仮差し押さえをした権利者が仮差し押さえの取り下げを申し立てることになります。実際には、売買取引のとき仮差し押さえをした人に金銭が支払われ、その後その人が裁判所に仮差し押さえの取り下げをしますので、このとき買い主側は裁判所に同行して取り下げ行為を確認します。仮差し押さえの登記の抹消は取り下げの後になるので、所有権移転登記の後に仮差し押さえの登記が抹消されることになります。

 

 次回は仮処分の登記がなされている物件の説明をします。