ほっと一息

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2021.08.24

資産管理の法律ガイド 売買について その15

JA広報通信7月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 

 今回は売買の対象となる土地建物の登記簿の記載のうち、注意すべき項目の説明をします。

 登記簿は土地建物の所在や地番、地目などが記載されている表題部と、所有権関係が主に記載されている甲区欄、抵当権などが記載されている乙区欄に分かれて作成されています。

 表題部にあっては、売買の対象地と登記簿の記載が同一か否かに注意をしてください。土地の場合、地目が「畑」や「田」などの農地表示のときは、売買に当たって農地法の許可などの問題が生じますので注意してください。

 甲区欄のうち、売主が登記簿の記載と一致していることの確認は当然に必要ですが、差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分の登記があるときは特に注意してください。

 差し押さえとは競売手続きの対象となっていることを表す内容です。つまり、この土地建物を購入しても競売されてしまうことを意味します。

 仮差し押さえ、仮処分は競売前の状況を示すものです。所有者に対して金銭の支払いを求める人が、対象の土地建物に差し押さえをする前に権利を確保しようとして付けるのが仮差し押さえです。

 仮処分はその土地建物に対して権利を主張する人が設定するもので、その土地建物を自分名義にしてもらう権利を保全するために設定するものです。

 

 前者の仮差し押さえは金銭の問題なので、権利者は土地建物に執着しておらず、お金さえ回収できればいいのですが、後者の仮処分はその土地建物自体を自分のものにしたいというのが前提ですので、後者の登記のある物件は売買の対象とはなりにくいと思います。

 乙区欄は主に抵当権付きの物件です。

 次回、仮差し押さえのある物件の売買についてもう少し説明します。