ほっと一息

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2021.07.30

資産管理の法律ガイド 遺言について(20)

JA広報通信7月号

JA全中・JAまちづくり情報センター 顧問弁護士●草薙一郎

 

 

 今回は、特別受益と遺言について説明します。

 遺言に当たり財産の一部について財産の承継者を示し、その余については相続人間で協議して決めなさいという趣旨の遺言があります。大切な財産のみ遺言で示し、その余は仲良く分けてくれという意味と思います。

 このような内容の遺言ももちろん有効ですが、一部の財産について承継者を決め、その余は遺産分割をせよとするとき、特別受益のことに気を付けてください。

 特別受益とは、被相続人から遺贈を受けたり生前に生計などのため贈与を受けた相続人がいる場合、遺贈や生前贈与はいわば遺産の先取りなので、遺産分割に当たってはこのことを配慮するというものです。

 例えば、遺産が9000万円で子どもABCの3人が相続人のとき、Aが遺言で900万円の遺贈を受けるとすると、相続開始のときは、9000万円の法定相続分である1人3000万円から、Aについては遺贈分900万円を控除した2100万円が、残った遺産について主張できる法定相続分とされてしまうのです。BCは遺贈や生前贈与がないので、1人3000万円が法定相続分となります。

 

 

 つまり9000万円から遺贈の900万円を控除した8100万円を3人で平等に分割するわけではないのです。

 従って、もし、Aに遺贈する900万円はそのままAに取得させ、残りは平等にせよと考えるのなら、その旨の表示をしておく必要があります。これを持ち戻しの免除といいます。ただ、これもBCの遺留分を侵害しない限度でということになります。